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2017/02/26
レストランでチーズワゴンが運ばれてきたときには、どのチーズを選ぶかという問題があります。



食べ放題なわけですけれど、取り分けてもらった後に食べ残すのは申し訳ない。それで、食べてみたいものを幾つか選ぶことになります。

遠くに旅行した時には、地元のチーズをいただくことにしています。レストラン側では、何処のが美味しいかを一番知っていて選んでいるはずだし、知らなかったチーズに出会える機会にもなるので。ワイン選びでも同じにしています。

でも、自分がいるところの地域だと、そういうのができない。今回、バターについて書いてきて(シリーズ記事目次: バターの見分け方)、あらたな注文の仕方を思いつきました。

バターの風味を最も味わえるのは、加熱殺菌していない牛乳から作ったバターなのでした。無殺菌牛乳から作ったチーズは、もっと如実に結果が出るはずですよね。

というわけで、思いついたのは、お給仕の人に無殺菌牛乳で作ったチーズを選んでもらう、というものです。そこまで把握しているかな、という気はするので、意地悪なお客になってしまうかもしれない...。でも、こだわりがあるレストランだったら、分かっているのではないかな。実験してみたいです。


フランスでは、無殺菌牛乳は健康に良くないと言われていたそうですが、最近になったら科学者たちが逆を言っているのだそう。無殺菌牛乳には、アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎などを軽減する効果があるのだとか...。

でも私は、健康のために食べるというのには抵抗を感じます。美味しいものを食べたいだけ!


AOP/AOPを持つチーズが最高とされるけれど...

Logo AOP原産地や製造法などで高品質だと認可されている食品の認可として、AOP/AOCがあります。

フランス観光開発機構: AOCとAOPは高品質チーズの証

フランス政府が認可している農産物・農産物加工品の品質保証の中で、AOC/AOPは最も権威があり、厳しい規定に従って生産されています。

これを持っているフランスのチーズの数は、現在のところ45となっていました。

厳しい規則に従って生産されているということは、チーズを作るための牛やヤギやヒツジは、冬でもない限りは放牧が義務で、品種が決まっていて、使う乳は伝統に従っているはずだから無殺菌牛乳だろう、と思うではないですか?

ところが、かなり内部規制が緩やかなものもAOP/AOCを獲得しているのでした。はっきりしているのは、例外なく原産地は限定されているという点。でも、それだけでは美味しいチーズはできない。


AOP/AOPチーズでも、無殺菌牛乳で作っているのは7割前後に過ぎない

テロワールの特徴と伝統を守ってチーズを作ることを推進しているらしい女性ジャーナリストが、各チーズで無殺菌乳である割合も示している著書がありました。
France, ton fromage fout le camp !
 - Où est passé le bon goût du terroir ?


著者: Véronique Richez-Lerouge
Editions Michel Lafon
2012年

この本を紹介する記事では、AOP/AOCを持つチーズの生産量に占める無殺菌乳で作ったチーズの割合は68%に過ぎないのだ、と書いていました。

この品質保証を管理しているINAO(国立原産地名称研究所) が出しているデータはもう少し多くて、2015年には75%としています。2010年あたりから徐々にAOPを持つチーズでは無殺菌乳で生産する量が増えてきているのだそうです。といっても、年に1%も増加はしていませんが。

ともかく、AOPを獲得しているチーズなら、無殺菌乳で作っている割合は高いとは言えるようです。この品質保証を持っていない熟成チーズの場合、無殺菌乳を使っている割合は、たったの10%程度なのだそうです。こちらは、殺菌乳を使うのが増加しているようです。2013年の情報では15%とあったので。


AOC/AOPチーズは、その品質保証を持っていないチーズの倍くらいの値段がするのだから、ちゃんと無殺菌乳から作っているのかどうかを知る権利が消費者にはあるのに、はっきり出していないと書いている人がいました。

※ 消費者が支払うAOPチーズの平均価格は、1キロ 13.84ユーロ(約1,800円)。1家庭で1年間に平均4.7キロのAOPチーズを購入している。

言われてみると、レ・クリュ(無殺菌乳)というのを売り物にしているチーズはあるけれど、100%無殺菌乳ではないチーズの場合は隠しているのではないか、という気もしてくる...。

フランスのチーズに関する情報サイトでも、AOC/AOPの規定で無殺菌乳から作らなければならないと定めているという記述があったりする程度で、そのチーズが無殺菌なのか加熱殺菌されて作られるのかというのは殆ど見えません。

その点で、上に入れた書籍が、チーズごとに、その生産量に占める無殺菌乳で作られた割合を示していたのは興味深いです。私は本を手にしていないのですが、そのパーセンテージをピックアップした情報があったので眺めてみました。

殺菌乳であるか否かの他に、もう1つ私が気にするのは、家畜の品種です。乳牛に関しては、これは歴然と出てしまうと思う。

フランスでは、搾乳量が多いプリム・ホルシュタイン種の乳牛が増大して、現在ではフランスで飼育されている乳牛の7割くらいを占めているようです。プリムさんには悪いけど、この牛のミルクは味が薄くて、チーズにするには無理があると思う。

でも、家畜の品種が何であるかの前に、加熱で風味を無くしてしまわない無殺菌牛乳で作っているかどうか、というのが第一の条件なのかもしれません。


チーズには製法もあるけれど、
  無殺菌乳で品種限定というところで、味はかなり決まってしまうのでは?


私がチーズを食べるとき、とても美味しいと思ったのに、次に食べたときには信じられないくらい無味乾燥で美味しくないことがあるのを経験していました。

そういう当たりはずれを味わったチーズというのは、無殺菌牛乳で生産されている割合が低いのと、かなり一致するのでした。

ということは、無殺菌牛乳を使っているパーセンテージが高いチーズを選びをすれば、がっかりする危険性は少ないのではないか、と思ったのです。


無殺菌乳を使っていて、しかも家畜の品種も限定されているAOPチーズの場合には、かなり当たりはずれがないように思いました。

例えば、私が必ずストックしているコンテチーズ

グラタンにも使うためのコンテチーズとして、6カ月しか熟成していない安いものをスーパーで買っているのですが、そのまま食べてしまっても美味しいのです。

熟成が短いと深みはありませんが、でも全く悪くはない!

コンテの場合、とても内部規制が厳しいのでした。

まず、無殺菌乳でないとAOPコンテとしては販売できないのでした。

しかも、乳牛は2品種に限定されていて、そのうちのモンベリアルド種が95%以上と決まっている。

だから、コンテには当たりはずれが無いのだろうと思いました。これは不味いと思ったコンテを食べた記憶はありません。


もう1つ、検証。

ひところ、牛乳から作ったブルーチーズ(青かびチーズ)は美味しくないと思っていた時期がありました。同じブルーチーズでも、ヒツジの乳で作ったロックフォールは美味しい。だから、牛の乳をブルーチーズにするのには無理があるのだ、などと勝手に思っておりました。

ところが、ブルー・ド・ジェックスには素晴らしい風味があったので驚いたのです。たまたま買ったのが美味しかったのかと思ったのですが、その後にどこで買っても美味しいのでした。

ブルー・ド・ジェックスは、無殺菌乳を使うことが義務になったチーズでした。

今まで食べていた青かびチーズには味がなくて、安物のチーズの雰囲気があるという記憶があったのです。何を食べていたのかな?...

無殺菌乳で作ったチーズの生産量が全体からみると3%しかないブルーチーズとして、ブルー・ドーヴェルニュがありました。こちらは、どんな品種の牛のミルクかも分からない。

大半のチーズ屋さんが置いているというので、私が悪い印象を持ったのは、ブルー・ドーヴェルニュかも知れません。

お値段にも差があるのだろうと思って、比べてみました。

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価格には、ほどんど差はないのですね~!


またまたフランシュ・コンテ地方のチーズを挙げてしまいますが、モルビエも大好き。

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モルビエ 約300g AOC フランス産 チーズ 毎週月・木曜日入荷
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AOPモルビエも、無殺菌乳から作ることを義務にしていました。

結局のところ、私はモンベリアルド牛のミルクが好き。

ノルマンディー地方には地元原産の可愛いノルマンド種の乳牛がいるのに、見かけるのはプリム・ホルシュタイン種の牛たちばかり...。

でも、フランシュ・コンテ地方の牧場には、モンベリアルド種の牛しかいないようにさえ見えます。





チーズごとに無殺菌乳を使っている割合と、家畜の品種が限定されているかの情報を加えて、私なりの判断ができるように表を作ってみました。

眺めて、自分で楽しんでしまいました。AOPを持ったチーズでも、そんなに美味しくないけれどな... というのは、この2つの条件、あるいはそのどちらの規制が緩やかなチーズなのでした。いつも好きだと分かっているAOPチーズばかり買っていたのですが、表を眺めていたら、これを食べてみたいな、というのも出てきました。

その一覧表は、次回の記事として転送します。この下に入れるつもりだったのですが、前置きが長くなってしまったので。

続き:
無殺菌乳で作られるチーズを探すために、一覧表を作ってみた

フランス産チーズを検索

ブログ内リンク:
フランスの伝統的なチーズを守ることを訴えたドキュメンタリー 2017/02/20
無殺菌クリームで作ったバターが最高 2017/02/0
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム)

外部リンク:
☆ フランス観光開発機構: 知っておきたい美食の認証制度~AOC、AOPなどの用語解説 | AOCとAOPは高品質チーズの証
☆ Cniel : dossier d'information - Les produits laitiers
☆ INAO: Produits laitiers AOP et IGP Chiffres clés 2015 / 2014 2013 [PDF]
☆ CNAOL: Produits laitiers AOP, Les chiffres clés 2011


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コメント
この記事へのコメント
チーズは まず匂いの強いのが ダメだから
まるで 感想を述べる資格はないですが
無殺菌牛乳というのが注意した事もなくて
いま改めて見たら
130度で 二秒間殺菌、、と
なっていました、、
ふつうのスーパーのは 似た様な物でしょうね〜
こんど 高級スーパー 鎌倉の KINOKUNIYA
などに 行ったら 見て見よう〜
きっと 腐るのがはやいから 置いてないよね〜
無調整牛乳というのは みることありますが、、
2017/02/28 | URL | katananke 05  [ 編集 ]
Re:
v-22 katananke 05さんへ

>チーズは まず匂いの強いのが ダメだから

私のブルゴーニュの友人仲間の中には、チーズは食べられないと言う友達が2名います。でも、2人とも、コンテチーズだけは食べるのです。

チーズが食べられないフランス人は損だと思います。コース料理でチーズが入っていても食べないのに同じ料金を払うのですから。コンテチーズしか食べない友人たちも、ワゴンにそれがないと、チーズはもらいません。

>無調整牛乳というのは みることありますが

無調整牛乳というのもありましたね。何なのかと調べたら、詳しく牛乳について説明しているサイトに当たりました。日本では無殺菌乳はダメ、と決めつけているみたいですね。

http://richlife100.com/6229.html
2017/02/28 | URL | Otium  [ 編集 ]
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