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2017/06/17
少し日本を離れていてから帰国すると、日本の空気が違ってきているな、と感じることがあります。

それを強烈に感じたのは、1990年代に入った頃でした。日本で滞在するのは東京なので、日本が変わったというより、東京が変わったと言うべきかもしれません。

なんだか日本人がヒステリックになってきた、と感じて、日本が危ないような予感を感じたのです。戦前を知っている世代の日本人に、戦争が勃発する前にはこんな雰囲気なのではなかったかと聞いてみました。

もっと暗かった、と返事されて、なんとなく安心しました。でも、それから3年もたたないうちに、地下鉄サリン事件をフランスで知ったのでした。やはり何か不穏な空気が流れていたよな、と思ったのです。あれは1955年でしたか...。


当時は、今のように外国にいてもインターネットでニュースを見ることはできない時代だったので、余計に帰国したときに変化を感じたのだろうと思います。今はもう、空気が変わったなどという漠然とした感覚は味わわなくなりました。

あの時、戦争に突入する前の日本がどんなだったか聞いた人は、もう亡くなりました。いま聞いたら、何と答えられたかな?... 最近の日本は戦争にまっしぐらで突進しているようにしか私には見えないのですけれど...。平成の治安維持法と呼ぶ人もいるような法律も強行採決で通ってしまいました。


独仏共同出資のArteというテレビ局は、時々とても良い番組を作っています。先日は、「Tokyo, cataclysmes et renaissances」と題したドキュメンタリー番組があったので眺めました。「東京、破局と再生」とでも訳したら良いですか?

関東大震災(1923年)と、東京大空襲(1945年)で焼け野原となった東京が、現在の巨大都市になる過程を記録映像で見せていました。

空襲で、真っ黒に焼けただれた死体にあふれた東京。一緒にテレビを見ていた友人が、アメリカは日本に2回も原爆を落としたのだし、戦勝国になっていなかったら、史上最大の戦争犯罪をしたとして断罪されていただろうと言いました。

イギリス軍などは、軍事施設などを標的にして狙いうちするので安心だったけれど、アメリカは狙いを定めずに何処でも攻撃するので、フランス人たちは怖がったのだそう。

でも、東京大空襲も、全く無差別でもなかったと思えるのです。焼け野原に天皇陛下が見えていたので、皇居は空爆されなかったということでしょう? 本郷に住んでいた友人は、飛行機から爆弾が落ちてくるのを眺めていると、そこでは爆発せずに、少し先にある上野のあたりで破裂するとこになっていると分かっていた母親は自宅で呑気にしていたそうだ、と話していました。アメリカ軍は、戦争が終わったら東京大学を利用する目的のために、本郷は破壊するのを避けたらしい、とのこと。余裕ですかね。

ナチスは未だに卑劣な行為をしたと責められていますが、無差別殺人をしたアメリカはナチスより残忍だったと言うべきかもしれない...。


フランスでは広島の原爆がいかに残忍だったかをテレビで報道することが多いので、原爆投下に関する映像はよく見るのですが、関東大震災と東京大空襲の映像は、日本でも見たことがなかったように思います。それで、この番組は私にとって貴重なドキュメンタリーでした。

映画が発明されて、東京で一番初めに撮影されたのは1898年(明治31年)だったのだそう。


日本人は、逆境にもめげずに頑張る! という姿が痛々しいほど見えるドキュメンタリーでした。こんなに頑張って平和な社会を築こうとしてきた日本。それなのに、どうして戦前に戻ろうとしているの?...

太平洋戦争には負けたけど、次の戦争では勝つぞ ♪、という機運が最近の日本に生まれているのでしょうか?...

日本はキリスト教とイスラム教の憎悪問題からは外れているという恵まれた立場だったのに、イスラム教徒のテロリストを逆なですることもやってしてしまった。そこまでしてまで戦争をしたいの?... 戦争をすると儲かるという図式はありますが、収益を得るのはごく一部の人たちなのだから、皆で賛成するというのは理解できない...。 


この記録映像を見て気になったのは、ひと昔前の日本人の顔が今とはかなり違うということ。顔だちも、表情も、身のこなし方も違う。一場面を切り抜いて「これは何人でしょう?」というクイズを出したら、日本人だという回答は出ないのではないかという場面もありました。

栄養の関係もあったでしょうが、自我を無くして、お国のために生きることを強要されていた時代だったからなのでは?...


1時間半のドキュメンタリーで、フランス語のナレーションなのですけれど、ひと昔前の日本人がどう生きていたのかを見せる貴重な映像だと思うので動画を入れておきます。


Tokyo, cataclysmes et renaissances - ARTE

YouTubeのリンク切れになったら、こちらでは残っているかもしれません:
☆ ARTE+7: Tokyo, cataclysmes et renaissances


日本人が優れているというのは、誰が何を言おうと、確固とした事実だと思っています。優れた頭脳の国民だといううだけではなくて、私欲を無くしてまで尽くし、なにしろ頑張る! さらに、昔から中国の文化を受け入れた歴史があるので、外国の良いところは吸収して、さらに優れたものに改善する原動力が日本にはあった。これがスゴイ日本の力だと思っていました。

フランス人は、文句ばかり言っている。身をこにして働かないでいたら、国際競争には負けて経済が落ち込むわけですが、それでも国がつぶれないでいるし、最低限の生活保障は日本の比ではないほどできているのだから不思議...。

日本が、日本人の素晴らしさを伸ばさないで、最近は行き止まりがあるような方向に走っているのが残念でなりません。日本を離れてみると、日本だけにいたら持たなかっただろうと思う祖国に対する愛情が生まれるのです。でも、外国に足を突っ込んでいる日本人は、最近の日本では「反日」とされてしまうのですよね...。

日本の政治家は、国際的な駆引きをする能力に欠けている。お金をばらまくけれど、どうせ日本はお金持ちだから出すのだろうという程度にしか外国では扱われない。戦争中に日本軍がしたことの収集だって、いまだに引きずっていている。あれほど国際的に批判されるほど残虐なことをしたドイツが、あればナチスの仕業だったということで政治t機に収集したのを見ると、上手くやったと感心してしまいます。


映像を提供した男性がいました。東京大空襲で住む家を失った当時2歳だった姿の映像です。家族でガレキをかき回して、何かお金に換えることができるものが見つかるかを探すのが、その人の遊びだったのだそう。痛ましいと思う光景でしょうが、男の科は無邪気で、お兄ちゃんに手を引かれて楽しそうに歩いている...。感動的な画面でした。

日本人は我慢強くて、逆境にも負けずに立ち上がれる国民なのだ、と見せたドキュメンタリー番組。淡々とした語り口で、日本を褒めて、見習わなければならないというのでもなく、ましてや日本人は異常だと貶したりはしていない。優れた報道番組で、日本人の私には感銘を与えてくれた内容でした。


日本の異常なほどの頑張りが間違った方向に向かってしまったのは、1964年の東京オリンピックからだった、と言っていた原子力発電に反対する先生がいました。それまでの東京は、のどかで住みやすかったけれど、殺伐としてしまったと感じたのだそう。

そうかもしれないな...。
でも、平和ボケしている私。

なぜか、命の危険を感じるような大事件のときには、現場にはいないのです。地下鉄サリン事件のときも、東日本大震災のとき、福島第一原子力発電所事故のときも、私はフランスにいました。さらに子ども時代にさかのぼっても、学生運動が荒れ狂った60年代末には、父親が地方に転勤していたのに同行していたので、東京で何がおこったのかは全く実感しませんでした。

最近にパリで大きなテロ事件があったときには、音信が途絶えていた日本の友人たちからも「大丈夫?」という連絡をもらったのですが、その2度とも、私は東京にいたのでした。なんなのだろう?!

日本の友だちに、危険を避けたかったら私と一緒に移動していたら良いのだ、なんて、悪い冗談を言ってしまう私。でも、戦争が始まったら、そんなことは言っていられません。戦争はなくて、生き地獄は見ないで済む幸運な人生を過ごしてきたのだから、長生きはしたくない、と思っているこの頃です。 

ブログ内リンク:
★ 目次: 文学者・哲学者、映画・ドキュメンタリー
★ シリーズ記事目次: フランスとドイツの友好関係を考える 2010/11/08
ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム 2015/03/01
最近の東京は怖い...  2014/02/13

外部リンク:
Loi contre la conspiration et si le Japon renouait avec son passé le moins glorieux... 15 Juin 2017
「共謀罪」を何と訳すのか?
追悼…野際陽子が語った戦争を知らない政治家へのメッセージ「戦争の真実を知ってほしい」


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2017/06/17 | | -  [ 編集 ]
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