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2017/07/22
ブルゴーニュには有名な郷土料理が幾つもあるのですが、自分で作ろうと思ったことは全くありませんでした。

例えば、ブッフ・ブルギニョン(Bœuf bourguignon)という牛肉の赤ワイン煮込み。「ブルギニョン」というのが「ブルゴーニュ風」という意味です。

この料理は作る友人が多くて、それぞれが自分のレシピは最高だという自負を持っています。それで、彼らの聖域を侵さないために、ブルゴーニュの郷土料理は絶対に作らないことにしていたのです。

ブルゴーニュのB&B民宿に泊まったとき、夕食にブッフ・ブルギニョンが出されたことがありました。なんだ、これ?! と思ってしまうシロモノ。経営者は他に地方からブルゴーニュに移住して来た夫婦なのでした。レシピを知らなかったのか? 残り物を出してきたから肉がなかったのか?... ともかく、この料理は牛肉の煮込みのはずなのに、ほとんどスープという状態なのでした。

南仏料理のラタトゥイユというのは日本でも人気があるらしくて、何回か日本で食べたことがあるのですが、本場の「おいしい♪」と思う作り方にはほど遠いと思いました。何でもなさそうに思える料理なのですが、これは美味しいとうならせるには、コツがあるのですよね...。

そういう経験があるので、よそ者が知らない土地の郷土料理を作るのは邪道なのだ、と私は結論していたのです。

でも、1つだけ、例外として、作ってみたいと長年思っていたブルゴーニュの郷土料理がありました。


シュー皮で作るチーズ風味のグージェール

作ってみたいと思っていたブルゴーニュのスペシャリティは、食前酒のときに出される「グージェールgougère)」というおつまみです。

頻繁に付き合っている友人仲間では、グージェールを作る人がいないし、ブルゴーニュにある店で買っても美味しいとうならせるレベルのものは少ないからです。

1度くらい作る実験しても良いのではないかと思い立って、グージェールを作ってみることにしました。

きっかけは単純。直売農家で買っている美味しい卵が余っていて、賞味期限が過ぎないうちに使わないともったいない、と思ったからです。高級食材を使うわけではないので、失敗したら、捨ててしまって、2度と作らないことにすれば良いわけですから!

グージェールgougère)」は、見た目はシュークリームのようなものですが、チーズが入っていて、全く甘くはありません。これとよく合うお酒は白ワイン、シャンパン、クレマン。

レストランやレセプションで出されることもありますが、パン屋さんやケーキ屋さんでも売っています。でも、よく食べるせいなので、美味しいのと不味いのとの差を感じています。

シャブリのカフェで食べたグジェールについて書いた過去の記事 ↓


★ もうシャブリのブドウ畑には霜はおりない?
2013/06/02


グージェールはいつ誕生した?

グージェールは2口くらいで食べられるくらいの大きさなのが普通ですが、大型サイズも売っています。



クロンヌ(冠)と呼ぶ、大きな輪の形のもあり(こういう形に作ります)、それが昔には一般的なブルゴーニュのグージェールだった、という記述もありました。お上品に小さいサイズで作るよりは、大きく作ってしまった方が楽ですから、昔はそれが一般的だったかもしれないとも思います。

グージェールが何時どこで誕生したのかははっきりとはしていないようです。

ブルゴーニュであることは確か。その地方の中でも北で、パリ寄りにあるヨンヌ県で生まれたというのが有力なようです。白ワインのシャブリの産地ですので、グージェールとはよく合うはず。県内にあるFlogny-la-Chapelle村では、ここでグージェールが生まれたのだとして、毎年グージェール祭りを開催していました。

登場したのは19世紀始めと言われます。1571年の文献には「グージェール」という文字が記載されているのですが、これはデザートとして食べるものだったのだそう。としたら、シュークリームではないですか?

20世紀に入ってから、小さな形のグージェールが人気を呼んでフランス全土に広まったようです。

でも、このおつまみが最も普及しているのは、シャブリの産地、コート・ドール県のワイン産地、それからシャンパンの産地のように感じています。ブルゴーニュ南部出身の友人は、子どもの頃にグージェールは見かけていなかったと言っていました。


グージェールのおいしさを決めるのは、
  パリっと焼きあがっていて、上質のチーズを使っていること


表面がカリっと焼けているのが美味しいのですが、味は使っているチーズによっても決まると感じています。

店で売っているのは、原価を安くするために、グリュイエールやエメンタールなどのハードタイプのチーズが多いと感じます。でも、美味しいのはコンテチーズで作ったグージェールです。

チーズの味が薄いのもある。それで、買ってきて家で食べるときには、コンテチーズを小さく切ったものを差し込んでオーブンで軽く焼いてから食べています。

このグージェールというおつまみは、焼きたてのように暖かい方がずっと美味しいので、どっちみちオーブンで焼き直すのは必須なのです。それに、フランスで買うチーズは日本で買うようには高くはないので、コンテはグラタン料理用にいつもストックしています。

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グージェールは食べる機会が多いだけに、私は拘りを持っています。美味しいのを作って売っている店は何軒かマークしているのですが、簡単に買いに行ける場所にはない。近所で売っているのは気に入らないので、買う気にもなりません。

それで、自分でグージェールを作ってみたらどうだろうか、と以前から思っていたのです。でも、pâte à chouxと呼ぶシュー皮をうまく膨らませるのは難しいらしい...。

作ってみようと思う気をそがれたのは、家にある昔のパン焼き窯に火を入れて料理をするパーティを開いたとき。招待客の1人がグージェールを下ごしらえして持ってきてくれたのですが、全く膨らまなくて、見るも無残な出来ばえだったのでした。


グージェールを作ってみた

インターネットで、フランスのサイトが紹介しているグジェールのレシピを探してみたら、たくさん出てきました。ブルゴーニュ地方のスペシャリティなのですが、フランスで全国的に知られているらしい。

チョイスがあると迷う。面倒くさいので、ブルゴーニュのコート・ドール県でワインを醸造しているドメーヌのサイトが紹介しているレシピを選ぶことにしました。たぶん、お婆さん時代から家に伝わっているレシピなのだろうと思ったので信頼する気になったのです。

印刷したレシピを見せて、「これで作ろうと思うのだけど」とフランス人に聞いてみたら、「なに、これ? グージェール・ブルジニョンヌ?!...」と反応されてしまったのでした。

何を言われたのか、私は分からなかった! サイトにあった印刷画面では「ブルゴーニュ風」というのを「bourgignonne(ブルニョンヌ)」と書いてあって、正しくは「bourguignonne(ブルニョンヌ)」と綴るべきだったのでした。

「u」が抜けていたなんて、どうだって良いではないですか? フランス人が正しいフランス語を書けないのを嬉しく思ってしまうのです。私はたくさんスペルミスをしでかすので!

ともかく、レシピ自体は悪くなさそうだと言われたので、それで作ってみました。

嘘みたいに簡単に作れてしまうのでした! 膨らし粉を入れるわけでもないのに、オーブンに入れたら見事に(!)膨らんでくれました。



これは、まだオーブンの中で焼いていた状態。まだ焼き色が薄すぎます。

試食させた友人たちから、こんなに美味しいグージェールは初めて食べたとまで絶賛されたので、私の料理のレパートリーにいれようと思いました。材料は常に家にあるものしか必要ではないし、生地も短時間で作れてしまうので便利。


採用したグージェールのレシピ

もっと美味しくすることを研究する余地はあるでしょうが、地元ブルゴーニュのサイトにあったレシピをメモしておきます。材料の分量が多少異なった2つのレシピを紹介しますが、私が今回に使ったものは最初に出している分量の方です。

Gougères Bourguignonnes
ブルゴーニュ風グージェール
(25個分)

材料:
  • 水: 25 cl(250 ml) ないし 15 cl(150 ml)
  • 小麦粉: 125 g ないし 150 g
  • 卵: 4個
  • バター: 100 g
  • チーズ: 125 g  ないし 120 g(コンテ ないし グリュイエール)
  • 塩: 1つまみ
  • 胡椒: 1つまみ
  • ナツメグ: 1つまみ(入れなくても良い)

作り方:
  1. 鍋に、水、バター(さいの目に切ったもの)、塩、コショウ、ナツメグを入れ、沸騰させる。
  2. 鍋を火から外し、小麦粉を一気に入れ、木のヘラで強くかき混ぜる。
  3. 鍋を火にかけ、1分か2分加熱して水分を飛ばし、生地が鍋にへばりつかないまでにする。
  4. 鍋を火から外し、かき混ぜながら卵を1個ずつ加える。
  5. 小さく四角に切ったチーズを生地に加える。
  6. サラダオイルを塗った鉄板に、スプーンで生地をのせる。光沢を出すために溶き卵を生地の表面に塗ると良いが、しなくてもOK。
  7. オーブンに入れ、200~210度で、20分から25分焼く。
  8. 焼きあがったら、オーブンのドアをほんの少し開けておいて冷ます。それをしないと、シュー皮がしぼんでしまう。


作ってみた感想

生地を作るのに必要な時間は20分くらい。木ヘラでかき混ぜるので、かなり力がいります。卵を入れる過程ではボールに移して泡立て器でかき混ぜてしまいましたが、結果には影響なかったようです。

きれいな形にするためには、絞り袋を使うと良いのかもしれませんが、生地がふんわりしなくなってしまうのが心配なので、ティースプーン2個で形を整えました。

最後に上に卵黄を刷毛で塗った方が、仕上がりはきれいな色になると思います。今回はやらなかったのですが、食べてみた感じからいって、細工はしない方が良いと思いました。使ったチーズも卵もバターも質の良いものだったので、風味としてはそれで充分だったからです。

レシピではチーズの分量が多すぎるのではないかと思って、少し量を減らしたコンテチーズにしたのですが、やはりたくさん入れた方が美味しいです。

オーブンで1回では焼ききれない量の生地ができたので、2回目ではチーズを少し加えました。生地の中にコンテを加え、さらに、表面にもチーズをのせて焦がした方が良いのではないかと思ったので、薄くスライスしたチーズを上にのせてみました。

それが、下の写真で左側に見えるもの(オーブンに入れて焼く前の状態)。右側のは1回目で焼いたものです。




レシピは色々ある

インターネットでレシピを探していたら、日本のサイトにもグジェールのレシピが入っていました。日本のワイン好きの人たちには知られているのかもしれない。

でも、日本情報のレシピで不思議に思ったのは、強力小麦粉を使うものがあったことでした。グージェールは軽く食べられることが魅力なので、強力小麦粉を使うというのは私には違和感がありすぎるのですけど...。ざっとフランスのレシピを閲覧した限りでは、強力小麦粉を使うというのは出てきませんした。


ブルゴーニュに住んでいるという女性がグージェールを作っている動画があったので入れておきます。最後には自分で試食しているので、どんな感じか見えますので。


[Recette apéritifs] les Gougères bourguignonnes

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外部リンク:
グジェール!ワインに最適、生粋のブルゴーニュなお隣さんレシピ
黒こしょうとコンテのグジェールレシピ
グジェールの作り方とレシピ
☆ Flogny-la-Chapelle: La Gougère
☆ Domaine Jean-Noël Gagnard: Gougères Bourguignonnes
☆ Marie Claire: Gougère
☆ Femme Actuelle: Gougère bourguignonne
☆ Cuisine Campagne: Gougère bourguignonne
☆ Marmiton: Recette de Gougères au fromage
☆ Papilles et Pupilles: Gougères au fromage
☆ Journal des femmes: Recette de Gougères
Mystère autour du lieu de naissance de la gougère, spécialité culinaire icaunaise


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コメント
この記事へのコメント
こんにちは。
グージェール、とっても美味しそう!!
フレンチのアミューズででますが、ホント、とても小さかったりします。色も、シューより薄いような??印象。お店によりますね。

シュークリームは、ウン十年前から何十回も作っていますが、膨らまなかったことはないです。それに、きつね色に焼き上がったあと、すぐにオーブンから出してもしぼみませんけどね・・。焼きが甘いとしぼむのかな・・。

シューを焼き始め、途中でオーブンを開けるのは、御法度ですよね。

膨らまない理由はいろいろでしょうが、火にかけたまま卵を入れたり・・なんてことかも??しれませんね。慣れない方は、やってしまいます。

卵を入れる時は、鍋のままではなく、ボールに移した方がいいですよね。鍋にくっついた生地で、ダマができそうですし・・。

シュークリームの時は、全卵を溶き、生地の硬さにこだわりがあるので、終盤は、細心の注意を払いながら硬さ調整をしますが、グジェールは、そこまで気にしなくてもいいのかな〜?

オーブンが壊れたので、作れないのがとても残念です!! (汗)
2017/07/23 | URL | フォルナリーナ  [ 編集 ]
Re:
v-22 フォルナリーナさんへ

>グージェール、とっても美味しそう!!

ありがとうございます♪ 初めて作ったにしては上出来だったと自分自身で思っているのです。

今日は、役場に出す文書をタイプしてあげた高齢の男性が食前酒タイムにお礼に来たので、残っていたグージェールをオーブンで少し焼いて出したのですが、「幸せ♪」なんて言ってくれました♪ 日本だと「美味しい」というくらいしか褒め方がないのですが、そういう言い方もあるかな... と面白く思った次第。

>卵を入れる時は、鍋のままではなく、ボールに移した方がいいですよね。鍋にくっついた生地で、ダマができそうですし・・。

レシピの説明ではボールに移すとは書いていなかったのですが、卵を入れることができる大きさの鍋は使っていなかったので、ボールに移しました。それで良かったのですね♪

>シュークリームは、ウン十年前から何十回も作っていますが、膨らまなかったことはないです。

そうなのですか。ハードルが高すぎると思っていたので、励まされます。

シュークリームも作れてしまうかと気を大きくしてレシピを探してみたら、アラン・デュカスのレシピが出てきました。シュークリームの生地を作るにはミルクを使うようですね。グジェールよりは少し難しそうに見えました。でも、いつか実験してしまうかもしれない...。

今夜は友人の家に招待されているので、グージェールを焼いて持って行こうと思っているところです。こういうのを「バカの1つ覚え」と言う! でも、何回もやっていれば上達するだろうし♪

>オーブンが壊れたので、作れないのがとても残念です!! (汗)

あら、残念。フランスで料理を作るときは、これほど便利な調理方法はないと思っています。日本にいるときは、オーブンの必要性を余り感じませんが。
2017/07/23 | URL | Otium  [ 編集 ]
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