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2017/09/04
最近、テレビの番組で映し出されるバスク地方やピレネー山脈の美しさに惚れぼれしています。


Besiberri en Catalogne : paysage typique avec petit lac et vallée suspendue

ピレネー山脈は、アルプス山脈より美しいと思う。アルプスは観光地化され過ぎているし、人間の手が入り過ぎていて、自然の壮大さを余り感じないのです。

ネパールを旅行してヒマラヤを眺めたときには、この山には神秘的に感じさせる何かがあると感じたのですが、ピネレーも似たものを感じます。

バスク地方は、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラまでフランスから旅行した途中で少し観光しているのですが、テレビで映し出される雄大な風景は見ていません。最近は大きな旅行をしなくなったのですが、旅行をたくさんしていた時代に、バスク地方に1カ月くらい滞在する旅行をしたかったな...。

バスク地方は、ヨーロッパの中で、人種的にも、言語の上でも特異な存在なのだそうです。そこの住民は、なぜか日本人に通じる感性があるように感じています。

バスクのスペイン領と、フランス領の、それぞれ1人ずつ知った男性から受けただけの印象なので、勝手な感想ではあります。でも、この2人に共通しているのは、自分のことより相手の気持ちを第一にする優しさがあることです。自分本位な考え方をするのが普通のフランス人を見慣れているので、余計にそう感じる。そういえば、日本人を高く評価したフランシスコ・ザビエルもバスク人だった。


バスク十字

故郷がある人は羨ましいと思う。私の故郷は東京ですが、これは「ふるさと」と言うものではない。日本にいるときにフランスのことを思うと、ブルゴーニュの美しい風景や、笑いころげる友人たちとのひと時のことが浮かんで、帰りたいという気持ちになります。でも、フランスにいるときに東京のことを思っても、殺伐とした風景しか思い浮かばないので、ホームシックなんかにはなれません。

数年前にブルゴーニュに引っ越してきたバスク出身の友人は、バスク地方への愛着にどっぷりと浸っています。先日、彼らの家に行ったとき、バスク地方のリキュールを出してきました。

このお酒については、すでにブログで書いているので省略:
「イザラ(星)」という名前のバスク地方のリキュール 2014/08/17

このリキュールを飲んだら胃の痛みが消えたと私が言ったので、よく出してきてくれるようになりました。甘いお酒を飲むのは余り好きではないのだけれど...。

故郷に帰ったときにボトルを買ったら、グラスのおまけが付いていたらしい。そのグラスに描かれている模様の説明をしてくれました。



フランス人たちは、このデザインが何かに似ているというのを知っているようでした。私には何でもない模様に見えたのですけど...。

バスクを象徴する模様で、バスク語でlauburuラウブル)と呼ぶのだそうです。

少し前にプレゼントしてもらったのでかぶっていった私のベレー帽を並べて記念撮影。



なぜか、バスク十字はナチスのハーケンクロイツという紋章と似ているのですね。

右と左が混乱するという欠陥を持っている私。フランス人の方がちゃんと知っていて、ヒンドゥー教のマークもナチスのと同じ方向で描かれるけれど、日本の地図で寺院の地図マークに使われるのはこれだ、と書いてくれました。

おさらいをしてみます。

バスク十字(ラウブル)
ハーケンクロイツ
ヒンドゥー教 万字
五つ割右万字
まんじ
寺院の地図記号

弘前市 市章


ナチスが使ったハーケンクロイツを見るとゾッとしますが、日本のとは鉤十字の方向が逆なのですよね。でも、バスク十字はハーケンクロイツと方向が同じなのでした。

プラド美術館に展示されているゴヤの絵にも、バスク十字が描かれています。

Marquise of Santa Cruz
サンタ・クルス侯爵夫人ホアキナ・テリェス=ヒロンの肖像、フランシスコ・ゴヤ画
La lyre de Joaquina Téllez-Girón, Marquise de Santa Cruz par Francisco Goya



日本の地図で「卍」で寺や寺院を現すようになったのは、明治13年(1880年)でした。「卍」は、サンスクリット語で「スヴァスティカ」と呼ばれ、吉祥の印。仏教でも「幸せ」、「めでたい」という意味を持っているのだそうです。

とすると、ナチスとバスクは逆を向いているから、めでたくないシンボル?! ナチスはそれで良いけれど、バスクの人に言ったら怒られそう...。


日本はナチスに寛大な国

バスク十字について教えてもらったのは4カ月前のことなのですが、それをブログに記録しておきたいと思ったのは、麻生太郎副総理兼財務相の発言のニュースを見たからでした。

「(政治家は)結果が大事なんですよ。いくら動機が正しくても何百万人殺しちゃったヒトラーは、やっぱりいくら動機が正しくてもダメなんですよ、それじゃあ」

この発言はフランスでもニュースになっていて、次のように翻訳されていました。

Même avec de bonnes raisons, Hitler, qui a tué des millions de personnes, n'était pas un bon responsable politique.

麻生氏は、2013年にも、憲法改正論に関して、ナチス政権の「手口を学んだらどうか」などと発言していました。後に「ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい」と述べたのですが、また出してきちゃった。

このときの発言は、こんな風に訳されていました:

La Constitution de (la république de) Weimar a été discrètement remplacée par la Constitution de l'Allemagne nazie: pourquoi ne pas s'inspirer de leur tactique?

こちらの発言の方が凄みがありますね。

よほどヒトラーがお好きなのでしょうが、先進国ではユダヤ人虐殺したナチスを礼賛するのはタブーなので、外国向けには政治家として自粛すべきだと思うけれど...。


日本ではナチス関係のグッズが普通に販売される

ル・モンド紙の日本特派員が書いた記事に、日本の戦争グッズを売る店ではナチス関係のグッズも売っていると書いてあった、と友人から言われたのは2年前のことでした。

フランスやドイツでは、ナチスやヒトラーを想起させるもの販売は禁止されているのだそうなので、フランス人を驚かせることだったようです。でも、ドイツにはネオナチがいて、あの人たちはそういう服装をしていたのではなかったでしたっけ?...

日本では自由にナチスグッズが販売されていると言われたのだけれど、本当に売っているのだろうかと思って、ネットショップで商品を検索してみました。

ある、ある。幾らでも出てきました!:
「ハーケンクロイツ ナチス ヒトラー」をキーワードにした商品検索結果




東京五輪で外国人向けの地図を作るにあたり、お寺を示す記号を卍にすると誤解を招くので別のマークにしようという案がありましたが、卍のままにすることにしたようです。私も外国人向けに変えることはないと思う。日本に来たら、すぐに覚えるでしょうし、面白がるはずですから。

でも、ナチスやヒトラーを想起させるグッズを身に着けている人が町を歩いていたら、外国人は仰天するだろうな...。

どのくらい売れているのだろう? 私は日本でも、ナチスやヒトラーを想起させるものを身に着けている人は見たことがないように思います。

... そう思ったら、いらっしゃったのでした。しかも、NHKに登場している!


【堀江貴文氏・ヒトラー?】NHK謝罪 ホリエモン、ヒトラー?柄のTシャツで生出演 ネットは騒然!


この方も、ヒトラーがお好きなのでしょうね。ヒトラーと同じタイトルの本を出していらっしゃいますし。ビジネスセンスにたけた方なので、ヒトラーの絵があるTシャツを着て反感を抱かせることも宣伝になるという思惑もあったのだろうと思います。この手法は、ベネトンがよくコマーシャルでやっています。


我が闘争 (幻冬舎文庫) 堀江 貴文


ヒトラーの著書『Mein Kampf(我が闘争)』は、フランスで話題になっていました。2015年の年末をもって70年の版権(著作権)が消滅し、誰でも『我が闘争』の出版が可能となるというというニュースでした。

ところが、そのときに知ったのですが、日本はこの『我が闘争』を自由に出版してきていた数少ない国のひとつだったのです。

戦前にはドイツと日本は同盟国だった関係から、初版発行から7年後の1932年に抄訳版『余の闘争』が出版され、その後も次々と注釈を加えた新版を発行してきたとのこと。戦後も、1973年に角川書店が文庫版で新たな翻訳本を刊行。さらに2008年には、漫画版『わが闘争 (まんがで読破)』が出版され、発売から半年で45,000部の売り上げを記録したそうです。

日本人は独裁者が好きなのでしょうかね。

ナポレオンも、フランス人よりは日本人の方が好いている感じを受けます。彼にはヨーロッパ諸国を開放した功績がある、とまで思っている日本人に出会ったこともあります。ナポレオンは侵略しただけですよ。おまけに戦争ばかりしていたから、フランスの人口は減ってしまったし、畑で使う作業馬まで没収したので農業を衰退させています。

外国人を驚かせた麻生太郎副総理の発言は、独裁者が好きな人たちが日本にはいるから、喜ぶ人たちもいると分かっていてやっているのかもしれない。としたら、写真にヒトラー髭を書き込まれたお仲間の方が、名誉棄損だと怒ることもないと思いますけど...。


ブログ内リンク:
★ 目次: 右と左の違いが気になる
★ 目次: 戦争、革命、テロ、デモ

外部リンク:
☆ Wikipedia: ラウブル » Croix basque
エハン・デラヴィの十字架の研究 ⇒ 「バスク十字」と「カギ十字(卍)」・・ヨーロッパ先住民族の十字マーク
謎に包まれた民族!? スペインとフランスにまたがるバスク地方に生きる『バスク人』とは
☆ Wikipedia: ハーケンクロイツ » Croix gammée nazie
☆ Wikipedia: 卍(まんじ) » Svastika
日本のお寺やナチスの党章などに使われる「卍」マークの意味
なぜ地図記号「寺院」は「卍(まんじ)」なの?
麻生副総理「ヒトラーの動機は正しかった」発言は本音! 安倍自民党に蔓延するナチス的価値観
麻生氏「ナチス発言」、揺れる大手新聞報道 最初は問題視せず、後から大きく取り上げる 2013/8/29
<麻生太郎氏>ヒトラー発言撤回 釈明と反論も展開
ヒトラー発言に米怒り 麻生副総理は経済対話で大幅譲歩も 2017/08/31
ヒトラーがブーム! でも「我が闘争」が読めるのは日本だけ!? 2014.07.20
L'Express: Japon nouvelle bourde du vice-premier ministre sur Hitler
Le Figaro: Japon: bourde du vice-premier ministre sur Hitler 30/08/2017
Le Monde: Au Japon, le nazisme s’affiche toujours librement 14.10.2015


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (4) | Top
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コメント
この記事へのコメント
バスクの方、そうなんですね。雪を頂いた山は、美しいですね。

お騒がせの麻生太郎氏、今年77歳になられるのですね。もっとお若いかと思っていました。(汗)
太郎氏と同名のお祖父様は、33歳の若さで亡くなってあります(創始者麻生太吉氏の三男)。

夫の伯父が(二人ともだったか?)、大昔、麻生邸で書生(死語??・笑)をしながら医者になり、麻生経営の病院に勤務してあったので、以前、麻生グループのホームページ内の「麻生の歴史・麻生百年史」を読みました。

第三章・爛熟期 太吉とその家族「39・夫人ヤス刀自」が、印象深かったです。
麻生の創始者、太吉氏(太郎氏の曽祖父)の妻ヤスさんは、寛大で大変聡明な方だったとか。

麻生家の大邸宅、麻生大浦荘(太吉氏の長男太右衛門の住宅・大正末期)は、朝ドラで有名になった伊藤伝右衛門邸のように、観光名所(春と秋)になっています。
2017/09/06 | URL | フォルナリーナ  [ 編集 ]
Re:
v-22 フォルナリーナさんへ

麻生大浦荘とはどんな所なのかと調べて、画像を眺めました。フランスだと、フランス革命の後の建造物は価値がゼロだと思っているのですが、日本ではたった百年くらい前の建物でも日本美を感じるのがある、という思いを新たにしました。

麻生太郎氏は、そちらのご出身でしたか。地元では人望があるのだろうと思います。

唐津に滞在したとき、旧高取邸というところを見学しました。九州には炭鉱主が何人も存在していたのですね。苛酷な条件で貧しい人たちを炭鉱で働かせて富を得たというのには心が痛みましたが、案内してくれたガイドさんは、贅をつくした屋敷を建てた高取伊好は福祉的な活動もしたのだと強調していました。

>「39・夫人ヤス刀自」が、印象深かったです。

「刀自」という文字を見て、刀で自害した女性なのかと無知な私は思ってしまったのですが、主婦に対する敬称でしたか。また1つ学ばせていただきました♪

お調べになるきっかけができたようで良かったです。
2017/09/06 | URL | Otium  [ 編集 ]
月曜日(11日)の夜、BS3であっている、「世界ふれあい街歩き」の再放送を、途中からなにげに観ていたら、なんと「バイヨンヌ」でした。チョコレートが有名ですね。

とても、フレンドリーな方達が多い雰囲気でした。スペイン人の奥さんもいらしたり・・。

バイヨンヌバーガー用の、大きめのバンズがアップで出てきたのですが、バスク十字がデザインされていました。この十字、火・水・土・風を表しているそう。
パンは、ゴマを使って十字を描いてあるそうですが、黒いケシの実(ブルーポピーシード)かな??  

具は、バイヨンヌの有名な生ハムと、地元のチーズ(ブルビチーズ)、野菜。お肉屋さんで、購入できるんだとか。

偶然で、びっくりでした。
2017/09/13 | URL | フォルナリーナ  [ 編集 ]
Re:
v-22 フォルナリーナさんへ

>なんと「バイヨンヌ」でした。チョコレートが有名ですね。

偶然が登場するのは、何かご縁があるみたいで、とても嬉しいです♪

チョコレートが有名というのは知りませんでした。バスク人の友人に聞いてみたくなりましたが、そう言うと、チョコレートを取り寄せてくれそうなので遠慮しておきます。日本人のメンタリティーと同じで、興味を示すと、何でもプレゼントしてくれてしまう人なので。

>この十字、火・水・土・風を表しているそう。

そうなのでしたか。やはり日本文化に通じるものがありますね...。

>バイヨンヌの有名な生ハム

ここの生ハムは有名でしたか。私は知らなかったのですが、何回かプレゼントされていて、ものすごく(!)美味し~いと感激しておりました。丸ごとの生ハムは、保存して日がたつとしょっぱくなってくるのですが、バスクのはそうではないのが驚き。テレビでの報道を見たら、スペインの黒豚と同じと思われる豚がバスク地方で放牧されているので、美味しいのも当然だな... と思っていました。

>地元のチーズ(ブルビチーズ)

少し前に書いたチーズに関するドキュメンタリー番組で、バスクのブルビチーズが出てきて、これも美味しそうだなと眺めておりました。これは「食べてみたい」と友人に言いたくなる...。

友人がたくさんくれるものは、エスプレットという唐辛子。最近は何にでも入れてしまっています。

この友人がくれるもので気に入っているのはサリス・ド・ベアルヌという塩。生ハムが美味しいのも、この塩のせいかと思いました。日本では知られていないと思うのですが、フォルナリーナさんだったらご存知かな。私はステレオタイプで、フランスの塩で美味しいのはゲランドと思っていたので、プレゼントされたときにはピレネー山脈の地下からとる塩の美味しさに驚きました。

日本に帰るときに、日本では売っていない塩だと言ったら、現地にいる娘さんに買わせて取り寄せてプレゼントしてくれたのですが、いま改めて調べたら日本語のサイトがあった...。

http://www.sel-salies-de-bearn.com/ja/
2017/09/13 | URL | Otium  [ 編集 ]
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