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2010/04/22

シリーズ記事【シャンパーニュ地方旅行記(目次】 その7
ランスの街


旧市街が好き

フランスを旅しているときに町に入ったら、観光スポットがある場所に行こうとするわけですが、どの方向に行けば良いかは比較的簡単に分かります。

歴史的建造物が残されている地域を示す道路標識があるのです。フランス語では、「Vieille ville(オールドタウン)」、「Centre historique(歴史的中心地)」などと書いてあります。

よく保存されている地域だと、昔にタイムスリップした気分になります。時代劇のロケをするときには、たいして手を加えなくても撮影できてしまうような姿。

Dijon
ディジョンの旧市街
フランスにある旧市街の中で、3番目に広い面積を誇る(パリ市、ボルドー市に次ぐ)


そういう旧市街がない、あるいは残っていない町もあるわけですが、観光地となっている街なら「必ずあるはずだ」と探します。それが広い面積だったり、本当に小さな一角だったりする、という差はありますが。

これはフランスに限らず、ヨーロッパの他の国々を旅行するときも同じで「旧市街」に対応する言葉が書いてある標識を目印にします。

いつだったか、「旧市街」という言葉を使ったら、日本人には通じないから別の単語を使った方が良いと言われたことがありました。なるほど、日本国内を旅行するときには、「旧市街はこちら」という標識は見たことがないような気もします。

旧市街を観光するときには、古い建物を眺めながら散歩するだけで観光になります。つまり、支出ゼロ。教会はたいていあるわけですが、入場料を取るのは本当に例外に過ぎませんので。建物などを眺めながら歩くだけという観光は、美しい村に行ったときもよくします。

ところが、先日行ったランスは、旧市街らしみものが見つかりませんでした。以前に行ったときに博物館など目ぼしい観光スポットは全て見学しているし、このときはお昼を食べに立ち寄っただけだったのでした。

それで、旧市街をちょっとお散歩しようと思ったわけなのですが、昔にタイムスリップする気分が生まれません。


なんだか変…

通りからランス市役所が見える眺めの写真を撮りました。

ランス市役所を望む通り

写真だと全然分かりませんね。私が変だと思った例にしたかったのは、赤い矢印を入れた建物です。右手の一番手前にある建物もそうですが、フランスの旧市街などでは見かけないような現代風の建物なのです。

フランスは景観保護が厳しい国ですが、歴史的建造物がある旧市街などは特に厳しいのが普通です。建物の改造して景観を乱すようなことは許可が出ないし、ましてやコンクリート造りの建物などは建てることはできないはずです。

既存の建物でも、屋根裏を改造して部屋にするので天窓を開けたいのに許可がおりない、という具合。パリのマレー地区に住んでいる友人も、窓枠は白でなければいけないのだと言っていました。

歴史的建造物が近くにある建物も規制を受けるので、国宝級の建物がご近所にあると家の改築も容易にできないので迷惑を被ってしまう、ということにもなります。

それでランスの古い街のあたりでは、観光スポットとなっている美しい建物のすぐ近くに近代的な建物が同居している光景がとても奇妙に見えたのでした。かの有名なノートルダム大聖堂の目の前にまで、コンクリート造りの美しくない建物(市営メディアライブラリーだったかな?)がデ~ンと建っている!


戦争の爪痕

ランスの街は、お気の毒なことに、かなり戦争で破壊されているのですよね。それで、前回の日記ではベルギーのイーペルの街の話しを前置きにしたのでした。
町が戦争で破壊されたら再建するヨーロッパ文化: イーペル市(ベルギー)

イーペルの方は、壊滅的に破壊されたのをみごとに昔の姿にしていました。ランスは、そこまですることはなかったとしても、もう少しなんとかならなかったのでしょうか?…

上に入れた私の写真ですが、偶然にもWikipediaに同じ道から撮影したと思われる写真が入っていました

こちらは、市役所を主体にしたアングルで撮影しています。つまり、周りの美しくない建物はほとんど見えない角度になっています。私の方は、建物のコントラストが面白いと思って撮影したので、こんな写真になりました。

普通、フランスで写真を撮ろうとすると、どこにカメラを向けても美しいアングルになってしまうのに...。ランスで写真をとるときには、日本で写真を撮るときと同じだな~ と、おもしろく思いました。

日本のガイドブックなどには美しい写真がでているのですが、うまい角度からとっているのですよね。同じものを目の前にして写真を撮ろうとすると、自動販売機や醜い看板などをどうやって入れないようにするか苦労してしまいます。フランス人が写真を撮ろうとしているのを見ていると面白いですよ。どうやったら電線が入らない角度になるかと探して苦労しています!

戦争で破壊されてしまった後、なぜか元の姿には戻そうとはしなかったランスの街…。歴史を探ったら、何か理由がでてくるのだろうと思います。


ところが、ランスは見どころ満載の街なのです!

ランスは世界遺産に指定されている街です。
*指定されているのは、この4つの建物

さすがに古い歴史を誇る町なので、ランスには見て感激するものがたくさんあります。
☆ ツーリストオフィスのサイト: ランスのイメージ(パノラマ写真、ビデオ)
*リンクしたページの最後にあるのは、テレビ番組「Des Racines et des Ailes」のランス特集。素晴らしい番組なので、これでランス特集が見れるかと大喜びしたのですが、途中でぷっつり切れてしまっていました。

その他にも、ランスに行ったときには、シャンパン会社を訪問して巨大なセラーを見学するのも楽しいし、藤田嗣治が壁画を描いたチャペルもあります。

Chapelle Foujita
Chapelle Notre-Dame-de-la-Paix (Chapelle Foujita)
今は撮影禁止になったようです。


 藤田嗣治「異邦人」の生涯


日本国内を観光するときに似ている

ランスは、わざわざ行って観光する価値が十分ある街なのです。しかも観光スポットが変化に富んでいるのも魅力です。古代ローマに占領されていた時代の遺跡から、中世、シャガール、フジタ。さらにシャンパン産地のお楽しみもある。

でも、街をブラブラ散策するのには適していない...。こういう街って、フランスでは珍しいのではないでしょうか? 変なことろで感心してしまいました。

戦争で破壊されてから昔の姿を失った町は幾つもあるのでしょうけれど、それほど歴史的に価値がある建物がなかった町の場合にはそれが目立たないだけなのだろうとは思います。

今回は、旅行の途中でお昼を食べにランスに立ち寄っただけだったのがいけなかったのだのでしょう。以前に行ったときには、余りにも充実した観光をしていたので、旧市街らしき地域がない町だというのは印象に残らなかったのか? あるいは、そう思っても忘れたのか?…

ランスの観光をするには、行くべきところを見学すべきなのだな、と思いました。ちょっと立ち寄って散歩したくらいでは良さが分からない。

京都を観光するときに似ているかな、と思いました。つまり、京都に立ち寄って、行き当たりばったりで行きついた繁華街をウロウロしただけだったら、ただの大都会に見えるだけではないでしょうか?




- 続く -


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コメント
この記事へのコメント
こんばんわ。ごぶさたしております。

ランスには、藤田嗣治の壁画の教会があるんですね。一度実際に見てみたいです!

ランス、そして前回のイーゼル市は戦争でひどく破壊されているんですね。イーゼル市の戦後の写真は、東京大空襲後の写真を見たときのようなショックを受けました。何故こういうことが起きてしまうのでしょう…。
お祭りの最中も気分が別のほうに行ってしまったOtiumさんの気持ちがわかります。
でも見事に修復したんですね。おっしゃるとおりすごい情熱ですね。景観への思い入れが強いということなのでしょうか。。

そういえば以前にベルギーの言語戦争について書かれていましたよね。ベルギーの知人に聞いてみたのですが、その方(フラマン人)個人としては、フランス語を話す地域に友人もいるし、自分もフランス語を話せるので、嫌な感情はないそうです。

でも最近首相が辞任したんですよね? 政治的・経済的にはやはり根は深いみたいですね。
2010/05/01 | URL | chiaki@静岡  [ 編集 ]
v-22chiaki@静岡さんへ

>ランスには、藤田嗣治の壁画の教会があるんですね。一度実際に見てみたいです!
⇒ ああ、chiakiさんは是非いらしてくださいね。私は特に好きな画家ではなかったのですが、かなり長いこと見とれて過ごしました。他には人がほとんどいなかったので居心地も良かったし。

>見事に修復したんですね。おっしゃるとおりすごい情熱ですね。景観への思い入れが強いということなのでしょうか。。
⇒ この昔の姿を残す情熱はどこから来るのだろうと、よく考えこんでしまいます。土地が地続きになっている国々だと、お隣の国より自分の国の方が優れているのを誇示するためには、昔から歴史がある、という点を強調する必要がある。それで、壊れたら昔の姿に戻しておかなければいけない、と考える?

日本は地続きの隣国がないので、惜しげなく壊してしまう。でも、中国は大陸にあるのに、どんどん壊して新しいコンクリートの建物にしていますね。やはり後進国には「追いつき、追い越せ」精神の方が強いからなのかな?...

>ベルギーの言語戦争
⇒ たぶん、お知り合いの方のようなのが一般的なのでしょうね。普通のベルギー人はバイリンガルだろうし、一部に過激な人たちがいるだけなのだろうという気もします。

でも、言葉というのは背景があって、もの考え方にも影響するので、ルーツが同じでない言語を持つ国は、ちょっとタガがはずれると大変だろうな、とも思います。
2010/05/01 | URL | Otium  [ 編集 ]
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