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2010/04/27

シリーズ記事【シャンパーニュ地方旅行記(目次】 その9
余談


前々回の日記(フランスの町を観光するときには旧市街を探すのだけれど…)にランスの街並みは戦争の爪痕が見えると書いたのですが、ふと、シャンパンメーカーには「ヴーヴ」とついたものがあることを思い出しました。

ヴーヴveuve)」というフランス語は未亡人を指します。なぜ、そんなものを付けているのか不思議に思われませんか?

「ヴーヴ」と名がつくシャンパンで一番有名なのは、ヴーヴ・クリコですよね。

この有名ブランド「ヴーヴ・クリコ」は除いて、ヴーヴという単語が入っているシャンパンを検索してみると、こちらが出てきます。日本へは輸出していないような小さな会社を入れたら、もっとたくさんあるように感じるのですが。


むかし、シャンパンに「ヴーヴ」と付いているのは、シャンパンが作られるシャンパーニュ地方は戦争で未亡人が多くできたからだ、と教えられたことがありました。それで、ランスの街が戦争で破壊されたらしい家が多いのを見て、なるほど… と思ったのでした。

でも、そんな世界大戦の頃以前からシャンパンは作られていたはずで、しかも、戦死して跡を継ぐ妻が、社名を変えるなんていることがあるのだろうか?… そもそも、戦争って、いつの戦争?


ヴーヴ・クリコとは?

とりあえず、ヴーヴ・クリコの歴史を調べてみました。

Barbe Nicole Clicquot(旧姓 Ponsardin、1777年-1866年)

クリコ未亡人の写真とともに彼女の功績を紹介しているショップ


【マダム・クリコの魂】ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン

クリコ未亡人はかなり気丈な人だったらしいですね。シャンパン会社の経営者になった初めての女性で、当時としては先駆的ビジネスウーマンだったようです。

ところで、シャンパン製造テクニックの柱になっているものには2つあります。第一は、ボトルの中で二次発酵をさせることですが、これはドン・ペリニョンが発見したもの。もう一つの澱抜き(ルミュアージュ)はクリコ未亡人が考え出したものなのだそうです(1816年)。


ルミュアージュ

ルミュアージュ(remuage)というのは、こういう作業です↓


Champagne Veuve Clicquot Ponsardin : Remuage


この作業によってボトルの口のところにオリがにたまっていくので、最後にこれを抜き、コルクを打ち込んで仕上げます。




下は、シャンパーニュ地方のワイン醸造高校のセラー。生徒さんたちのボトルの扱いは、上のベテラン風の方とは違いますね...。


Champagnisation : remuage des bouteilles


どうしてこんなことをするのを思いついたのでしょうね? クリコ未亡人は単にシャンパン会社の経営者として成功しただけではなく、シャンパンの発展に大いに寄与した女性ということになります。

となると、シャンパンメーカーの名前に「ヴーヴ(未亡人)」とつくものがあるのは、このクリコ未亡人にあやかろうというのが強かったように思えてきました。でも、実際に未亡人にならなければ名乗れないので、やはりシャンパーニュ地方には戦争未亡人が多かったのかな?…


最後に、ヴーヴ・クリコ社の様子を見せる映像があったので入れておきます。


Les Champagnes de la Maison Veuve Clicquot Ponsardin - Millésima


お昼を食べるために立ち寄っただけのランスの街のことから始まって長々と書いてしまいましたが、シャンパーニュのお話しはこの辺でやめて、次回からは別の話題を書くことにします。


追記:(2016年1月)

偶然シャンパンの醸造に関する映像に行き当たりました。1964年の記録映像で、セラーの中でルミュアージュをしているところが暴騰に出てきているのですが、上に入れたやり方とかなり違うのです! 酒蔵に響く音も全く異なっています。

ただボトルを少し回転させているだけではなくて、オリをボトルの口に強引に落とそうとしているかのようにボトルを振っているのです。醸造法の発展によって、今のように静かにやった方が良いということになったのか、今はオリが余りでないように液体を処理してからボトル詰めしているからなのか?...


INA: Les chefs de cave

ブログ内リンク:
シャンパンの口抜き作業 (1) Dégorgement à la glace 2013/04/10
 ⇒ シャンパンの口抜き (2) Dégorgement à la vole 2013/04/12
★ 目次: シャンパンとスパークリングワインに関する記事
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: 旅行したときに書いたシリーズ日記のピックアップ


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コメント
この記事へのコメント
こんにちは! いやぁ、大変興味深い物を見せて頂きました。 ワイン瓶の底にオリがたまるので、シャンパンの瓶の底の真ん中が持ち上がり、周囲が溝状になっているのだ、とは聞いていましたが、なるほどねぇ!
それに、かなりな量のオリが出来るのですね、驚きました。
で、ついでに質問させて下さい。この瓶の口に溜まったオリを最後に抜く、というのは、どういう方法ですか?
折角瓶の口に溜まったのですから、逆さに戻したり、蓋を開けたりはしないのでしょう?
注射針みたいに差し込んで抜くのでしょうか? それしか素人には思いつきませんが・・。


2010/05/02 | URL | shinkai  [ 編集 ]
v-22 shinkaiさんへ

>かなりな量のオリが出来るのですね、驚きました。
⇒ ワインよりも早くボトル詰めして、瓶の中で発酵を続けさせるので、こうなるのでしょうね。

>この瓶の口に溜まったオリを最後に抜く、というのは、どういう方法ですか?
⇒ 蓋をあけたときにシャンパンのガスで飛び出すのを利用するようです。今では瓶の口を急激に凍らせて、オリを氷にしてしまって取り除く方法ができたので、ずいぶん楽になったと聞いています。それまでは、非常に熟練を要した作業だったと思います。

① 昔ながらの伝統的な方法 (Dégorgement à la volée):
http://www.youtube.com/watch?v=8oJtTVxWPbQ&feature=related
コルクの昔ながらの打ち込み方法も見えます。

② 近代的な凍らせる方法 (Dégorgement à la glace):
凍ったオリが氷になって出てきた写真が入っています:
http://www.viticulture-oenologie-formation.fr/vitioenoformlycee/champagnisation/degorgementglace.htm
マイナス24度で凍らせると書いてありますね。

その作業:
http://www.viticulture-oenologie-formation.fr/vitioenoformlycee/videos/champagnisationjcp/degorgement.htm

シャンパーニュの醸造学校のビデオなので、家内工業的にやって見せてくれていますが、シャンパン会社などではかなりオートメーション化しているので(ボトルを回すのも機械でできる)、味気ないです。

こちら大手Taittinger社の仕上げ作業:
http://www.youtube.com/watch?v=XWAVMPQLX-0

ブルゴーニュの郷土料理では赤ワインのオリを使った料理があるのですが、シャンパンは昔から捨ててしまっていたのではないかという気がして、もったいない気がします。
2010/05/02 | URL | Otium  [ 編集 ]
有難うございます! 大変面白い作業を見せて頂きました。 取分け、最初の手作業のヴィデオで、ブワッとオリと栓が飛び出し、そのあとに溢れるのをちょろっと舐めてニヤッとするのが楽しいですねぇ。
それに、針金巻きもかっては大変時間のかかる作業だったのですねぇ。

いやぁ、面白かったです。 Otiumさん、次回はワイン樽製造所の記事を予定しているのですが、ちょうど似た関係ですから、ご紹介させて下さいね。
2010/05/03 | URL | shinkai  [ 編集 ]
v-22shinkaiさんへ

>そのあとに溢れるのをちょろっと舐めてニヤッとするのが楽しいですねぇ。
⇒ 私も目につきました。学校の実習らしいのでそれで良いのでしょうけど。でも、熟練していても溢れるでしょうから、衛生がどうのこうのと煩くなかった昔はやっていたのではないかな、なんて思いました。

>次回はワイン樽製造所の記事を予定しているのですが、ちょうど似た関係ですから、ご紹介させて下さいね。
⇒ ありがとうございます♪ イタリアの樽づくりって、フランスと同じように火を燃してやるのかとても興味があります。楽しみです!
2010/05/03 | URL | Otium  [ 編集 ]
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