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2010/05/10

シリーズ記事 【なぜパリっ子は嫌われるのか?】 目次へ
その4


先日、ブルゴーニュから車を運転してもらってパリに行ったときのことです。

パリの道路は渋滞しているし、駐車料金も安ホテルに泊まったくらいの料金になるので、車なんかでは行かない方が良いのですけれど、電車で行こうとしたときに駅までどうやって行くかという問題があります。公共交通網が貧弱なので、最寄りの駅までバスなんかでは行けないからです。

パリに到着。路上駐車はあきらめて駐車場に入ったのですが、空いているスペースがない。フロアーを変えていきました。

でも、いつまでグルグル回っていれば良いのか?…


パリっ子って、正義感が強いのだろうか?

空いたスペースがありそうな道が横にあり、そこに入って行く車があったので後について行きました。一方通行の方向が違うらしいけれど、パリではそうしないと生存競争に勝てないのかも知れない。パリで運転するときには、地方にない慣習があるのです。

でも、前の車が駐車スペースをとってしまったので、私たちの場所はありそうもない。

すると、どこからともなく、いかにもパリの紳士という感じの男性が現れて、私たちが逆の方向から入って来たと文句を言います。

車を運転していた友人は、「すみません。気がつかなかったものですから」と丁寧に詫びたのですが、紳士は両手をあげて「Uターンしろ」とわめく。

見逃してくださいよ。こんなところでUターンするのは大変なのですから。あと5メートルも前に行けば、曲がり角で正しい方向に修正できるのに…。

でも、車のプレートで、こちらが田舎者なのは一目瞭然。それでバカにされてしまったのかな?…

相手は道に立ちはだかってどいてくれません。戻れと、わめき続けています。

仕方ないので、バックし始めたのですが、相手はそれを見極めようと立っていらっしゃる。ようやく、Uターンして入ってきたところまで戻ったら、紳士は立ち去っていきました。

パリの人って、正義感が強いのか? あるいは、おせっかいなのか? あるいは、暇なのか?…

友人が私に言います。
「パリジャンだね。こういう人にはパリ以外では出会わないよ」

本当にそうだと思いました。普通は、一方通行の道に逆から入ってきた車があったら、「間違えてますよ~」と教える程度で、わざわざ出てきて息まいたりなんかしないもの。


ピザ配達の若者と言い合いを始めた友達

何年も前に、同じような光景が繰り広げられたことがあったのを思い出しました。

わめいたのは私の友達。私にはメロメロに優しくしてくれる、親代わりのようなマダムなのですが、その時はパリっ子らしい彼女を見たのでした。

レストランで一緒に食事しようという約束で彼女の家に行って、食前酒をご馳走になりました。それから、マダムと私が先に家を出て、ご主人が用事を済ませてから下りてくるのをマンションの前で待ちました。

マダムがタバコに火をつける。二人で道路を眺めていると、右手の方からオートバイがやってきました。そこは一方通行の道路で、オートバイは逆の方から入ってきたのでした。

マダムが生粋のパリっ子であることを思い出した瞬間です。オートバイを運転していた若者を呼びとめて、交通違反だと言います。

ピザを配達している男の子のようでした。私などは、若者にイチャモンをつけるなんて怖くてできません。「うるせ~!」などと殴られたら、きゃしゃな体の彼女なんか、ひとたまりもありませんよ!

でも、悪い人ではないような若者でした。オートバイを止めて、言葉を返してきます。

いわく:
あなたたちと違って、僕は忙しいんだ。急いで配達しないといけないので、一方通行なんか無視しなければいけないんだ。

「僕は忙しいんだ」を繰り返して、こう言うのです。
あなたたちは牧場の牛を眺めているみたいにタバコなんかをふかしているけれど、僕は働いているんだ!

私たちは、こんな風景 ↓ を眺めているように見えたのでしょうかね?

ブルゴーニュの牧場です

パリの町中にいながら、牧場の風景なんか思い浮かべたことはなかったのですけど。それに、本当に忙しいなら、マダムのことなんか無視して走り去ってしまえば良いのに、律儀ですね…。

マダムも譲りません。
彼が忙しいのは理由にならない。ここは一方通行なんだから、もと来た方向に戻れ、と言い張ります。

オートバイの青年は、正統性を主張。急いで配達しないといけないのだそうです。

そして、また言う。
あなたたちは牧場の牛を眺めているみたいにのんびりしているけれど、僕は忙しいんだ。

2度も牧場を持ち出されたので、私は別の風景を思い浮かべました。故郷を思い浮かべたときの風景には、教会も見えた方が良いかもしれないですから。

ブルゴーニュの牧場です


可愛そうな人たち…

結局、若者はUターンすることもなく走り去りました。

それにしても、どうして私たちが牧場にいる牛を眺めているみたいに見えてしまったのでしょう?…

本当は、私たちがオートバイを眺めている牛の親子のように見えてしまったのではないかな?… だって、牧場の前を通ると、牛たちはこちらを見るものなのです。

ブルゴーニュの牧場です

このエピソードがあってからは、苛々とした顔で不愉快なことを言うパリのカフェのボーイさんなどを見たときに、腹を立てずに同情する気持ちになりました。

本当は田舎でのんびり暮らしていたのに、仕事にありつくために大都会にやって来た可愛そうな人たち…。故郷にいたときは、牛がのんびり草を食べたりしているのを眺めていて気持ちにゆとりもあったのに… と考えてしまうわけです。

こんなエピソードを思い出したのは、先日の日記(なぜパリっ子は嫌われるのか?)を書いたからでした。でも、アンケート調査結果に現れたパリっ子のイメージに、パリっ子は「おせっかい」とか「正義感が強い」とかいうのはなかったですね…。

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カテゴリー: パリは外国 | Comment (8) | Top
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コメント
この記事へのコメント
きゃはは!
悪いことを注意しても「ごめんなさい」を言わずに言い訳をべらべら話しますよね。こういうふうに教育されているのかな~?(謎)
そして、何度も同じ事をいいますよね。1度言ったらわかるのに…(笑)
でも、お陰でかわいい牛さんの写真を見られたからラッキー!こっちを向いている牛さん、すっごくかわいい~!

リヨンでもバイクが歩道をすごい勢いで走る姿に何度か遭遇しましたが、危なくてビックリです。
それにしてもこの動画の運転はすごすぎる。。。逮捕ですよ!!!
2010/05/12 | URL | pepe犬  [ 編集 ]
Re: きゃはは!
v-22pepe犬さんへ

>こういうふうに教育されているのかな~?(謎)
⇒ ドイツに転勤になった日本人が言っていたことが印象に残っています。子どもさんが遅刻して学校に行ったとき、「すみません」と言って教室に入ると先生に叱られたのだそう。こういう場合には、なぜ遅刻したのかをしっかりと先生に説明すべきで、それがもっともな理由だと、先生は「よし、よし」となったのだそうです。なるほどね... と思いました!

>リヨンでもバイクが歩道をすごい勢いで走る姿に何度か遭遇しましたが、危なくてビックリです。
⇒ パリで車の間をすり抜けていくオートバイの運転は危なっかしくて、事故にならない方が不思議だと思って見ていますが(実際に大怪我をしたり命を落とした知人もいますが)、歩道を走ってしまうとは怖いですね~。
2010/05/12 | URL | Otium  [ 編集 ]
こんにちは! Otiumさん、お話が進むにつれて、だんだん牛が大きくなって3回も登場するのに吹き出しました!
いやぁ、でもこちらの人は自己の立場だけ、考えのみを主張しますねぇ。言い出したら、引きませんものねぇ。

それに、バイクのあのこわい運転は、こちらイタリアでもそうですよ。 見ているだけで恐ろしくなりますが、それも何年か前までは、バイクのナンバーなし、ヘルメットなしだったのですよ。
今はヘルメット着用が義務付けられていますが、ナポリの映像など見ると、殆ど無しのままで皆走り、警官の前を通ったりすると、警官が横を向いて見ないようにして・・、怖いですよぉ!

シャンペンのお話は、先回文字制限でダメでして、今夜アップの分でご紹介します。 よろしくお願いいたします。
2010/05/13 | URL | shinkai  [ 編集 ]
ふむ~
街の暮らしは、やっぱり花の都も大変なんでしょうね。
もう五年ほど阿蘇の田舎で暮らして思うのは、あちこちで「ゆるされる」なあ~、ということなのです。言い換えれば「大目に見られる」とか「まるごと受け入れてもらえる」とか。
例えば、子連れでモタモタしても「いいのよ~」にとどまらず、「愛らしいね~いくつ?」と、許されるだけでなく存在そのものを歓迎されたり。
のんびりした直売所に行くと、店番のおばあちゃんが「お漬物食べていかんね」と買い物をするしないに関わらず勧めてくれたり。
自分はここにいていいんだなあ、という気分になることがたくさんあるのです。自分がそうされると、自分もまた、他人に対して寛容にできるようになってきたのを感じます。
でも、人が多い街では、ついつい互いに厳しくなりがちだろうなあ~。お気の毒…。
やっぱり街は、たまに行くくらいでいいな~。
2010/05/13 | URL | すぎちゃん  [ 編集 ]
v-22shinkaiさんへ

>こちらの人は自己の立場だけ、考えのみを主張しますねぇ。言い出したら、引きませんものねぇ。
⇒ 「口から先に生まれた」という表現はこの人たちのためにある、と思ってしまいます! イタリア人がしゃべっているのは身振り手振りで面白くて好きなのですけど。この間行った朝市のイタリア食品売り場では、イタリア語でお客さんに話している男性がいました。もう一人の売り子さんに「イタリア語って楽しくて良いですね~」と言ったら、「うるさくて、うんざり」と返事が返ってきたので笑ってしまいました。ずっと一緒にいたらそうかも知れない!

>バイクのあのこわい運転は、こちらイタリアでもそうですよ。
⇒ だいぶ前、フィレンツェに行ったとき、特にバイクがうるさくてたまらないので、何日も滞在するつもりだった予定をやめて、すぐに街を離れました。その後、近くを通ったので立ち寄ってみたら、車の立ち入り禁止になったらしくて、静か、静か。何日も滞在して、街をくまなく歩き回って大喜びしました。あんなに街の雰囲気が変わってしまうかと驚いたのでした。

>ナポリの映像など見ると、
怖いですよぉ!

⇒ 相変わらずすごい運転ですか。フランスの友人たちとナポリに行ったときは、運転するのが怖いので車はガレージに入れたままにしました。ある日、素晴らしいお天気になったので、目の前に見えたカプリ島に行こうということになって、港までタクシーで行くことにしました。

渋滞で進まないので、船に乗り遅れてしまうと心配。ところが、タクシーの運転手さんに「ナポリで運転するのは怖いので、ずっとホテルに車を置いたままだ」と話したら、運転手さんは俄然張り切りだして、「俺の運転を見ろ」とばかりにすごい運転を始め、あっという間に到着してしまいました。

すごかったです。交通法規は全く無視の猛スピード。交通整理をしているお巡りさんは跳ね飛ばしそうになる! お巡りさんも慣れているらしくて、さっと飛びのいていましたね。ビデオのバイクの運転を見て、そのときのことを思い出しました。

>シャンペンのお話
⇒ イタリアの樽づくり、とても興味深かったです。こんなに大きな樽をつくるところは見たことがなかったので。exiteブログは文字制限があるのですね。私のFC2ブログは、本文もコメントも制限がないように見えます。
2010/05/14 | URL | Otium  [ 編集 ]
Re: ふむ~
v-22すぎちゃんへ

>もう五年ほど阿蘇の田舎で暮らして思うのは、あちこちで「ゆるされる」なあ~、ということなのです。言い換えれば「大目に見られる」とか「まるごと受け入れてもらえる」とか。
⇒ 「ゆるされる」という言葉で表現なさったのは興味深いです。

>自分はここにいていいんだなあ、という気分になることがたくさんあるのです。自分がそうされると、自分もまた、他人に対して寛容にできるようになってきたのを感じます。
⇒ 「自分はここにいていいんだなあ」という感覚ですね。都会にはそれがない! だから他人にも寛容になれない。なるほど.....。

フランスでは、都会の非行少年たちを田舎に滞在させて更生する、という試みをします(映画化された実話もある)。役場が所有している使わない古い建物を観光宿泊施設に改造するのを手伝わせたりするのですが、ぐれていた若者たちはみるみるうちに変わっていくそうです。何に効果があるのかというと、道ですれ違う村人たちが「ボンジュール」と声をかけてくれる。都会では社会のクズとしか扱われない自分なのに、田舎にいると、みんなが自分の存在を認めてくれて、人間として扱ってくれる、というのが大きいのだと言っていました。これが「自分はここにいていいんだなあ」となって、心の安らぎをえて、悪いことはしなくなるのだろうな... と思いました。
2010/05/14 | URL | Otium  [ 編集 ]
パリの運転
 こういう話を聞くと、やっぱり主人にはパリで運転させなくて、本当に良かったと思います。こっちがいくら注意していても、こんな怖ーいバイクが来たら、何が起こるか分からない!
 パリの縦列駐車を初めて見たときは、なんてすごい運転技術と感動したものです。
 それにしてもピザ屋の青年の話には笑ってしまいました。
>あなたたちは牧場の牛を眺めているみたいにタバコなんかをふかしているけれど、僕は働いているんだ!
⇒ 想像しただけでも笑えるのに、シャローレの牛さんの写真が入って、これまた大笑い! キョトンとした牛さんには、彼の気持ち、わかんないだろーなあ・・・。
きっと彼は、そういう生活にあこがれてるんでしょうね。かわいそうな青年。頑張って働いて、いつか田舎に別荘でも持てる日がくるといいですね!
2010/05/14 | URL | ママン  [ 編集 ]
v-22ママンさんへ

>パリの縦列駐車を初めて見たときは、なんてすごい運転技術と感動したものです。
⇒ 私も感心します。こんな狭い空間に入れるはずがないと思いながら見ていると、一発で入り込んだりしている!

でも、パリで運転なさらなくて正解でしたね。オートバイも怖いけど、車もかなりスピードを出しているし、追い抜きたがって縫うように走るので、危なっかしいことこの上ありません。

フランス人にとっての田舎は牛がいる牧場だとすると、日本で地方から都会に出た人は「山を眺めながらタバコなんかふかしていて!」と思うのかな... 。でも、たぶんそんな発想はしないのではないかと思いました。

>かわいそうな青年。頑張って働いて、いつか田舎に別荘でも持てる日がくるといいですね!
⇒ 本当に。その前に大怪我をしなければ良いけれど。気のよさそうな男の子なので気になりました。店のご主人は「安全運転するように言っている」などと言っていたけれど、早く配達すると報酬を高くしたりとかしているのではないかと思ってしまいました。お店で買い物するときなどには、フランスの店員さんはちっとも急いでくれないので、こんな働き方をする人がいるのは不思議です...。
2010/05/14 | URL | Otium  [ 編集 ]
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