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2010/07/24

シリーズ記事 【カマンベールチーズは複雑!(目次
その4


特別に興味は持っていなかったチーズのカマンベールのことを長々書いてしまったのは、日記にしておきたかったカマンベールと出会ったからでした。

カマンベールはポピュラーなチーズだけに、ばらつきが大きいと感じます。丹精込めて伝統的な製法でつくられるものもあるし、工場で大量生産されたものもある…。

消費者もそれを気にするわけですが、伝統的な製法を守っているところは、もっと気にしているのでしょうね。


しつこいくらいの表示!

先日食べたカマンベールです。手作りチーズ風のパッケージが気に入って買ったのですが、書いてあることに笑ってしまいました。

カマンベールチーズ

何が目についたのかを拾ってみますね。

Camembert de Normandie(カマンベール・ド・ノルマンディー)
 前回の日記(フランス産カマンベールには4種類ある)で書いたように、この名称が付いているとAOC(原産地統制呼称)を持つカマンベールだと見分けられます。

Appellation d'Origine Contrôlée
 しっかりと「原産地統制呼称(AOC)」として認められているのだと明記しています。AOCに対応するEUの品質保証マークAOPも付いています。

つまり、伝統的な製法で作られているAOCチーズだということを、3通りに表現しているのでした。


笑ってしまったのは、さらに箱の下の方に赤い文字で書いてある文章の3行目です。

au lait cru (無殺菌乳使用)
moulé à la louche (ルーシュを使って作った)
à la main (手で)

「ルーシュ(louche)」というのは、スープなどをすくうオタマ(レードル)。

AOCカマンベールでは、カード(凝乳と呼ばれるチーズのもと)をすくうためにルーシュでかき混ぜてチーズを凝結させることを義務づけています。

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ルーシュは、持ち手の先が器にひっかかるようにカーブしているのが特徴



でも、オタマのようなものをつけた機械にやらせている工場もあるらしい。それで、このチーズを作っているチーズ工房では、うちでは伝統的なやり方、つまり手にオタマをもってやっていると書いているのですね。

さらに! です。

箱を開けた部分にシールが貼ってあって、そこにルーシュを手で持った絵まで描かれています。

絵だけでは足りないと思ったのか、さらに書いてあります。
moulage traditionnel(伝統的な型詰め)
à la louche  à la main(ルーシュで 手で)


すごいな~と、思って食べたのですが、正直いって、感激するほどのカマンベールではありませんでした…。

でも、チーズは生き物で、保存の状態によって風味が大きく変わってしまうので、このチーズはもっと美味しいものだったはずかも知れません。


カマンベールはどうやって作るか?

ノルマンディー地方を旅行したときには、カマンベールを作っている農家にチーズを買いに行ったりもしたのですが、作るところは見ていません。

とても良いビデオが見つかりました。

ビデオには「本当のカマンベール・フェルミエ」とタイトルが付いているので、前回の日記「フランス産カマンベールには4種類ある」で書いたカマンベールの種類のうち、2番目のタイプ「Camembert fermier(カマンベール・フェルミエ)」に分類されるカマンベール(農家の小規模生産)のようです。

ご興味がある方はご覧くださいね。「ルーシュ」なるものがどんなものなのかも見ることができます。

農家の小規模生産カマンベールの製造を見せるビデオ:

Le vrai camembert fermier

チーズはこういう小規模生産が好きです。でも、欧州連合が押し付ける衛生基準で、こういうチーズは製造禁止になりそうになったことがあったのですよね...。


チーズの味は、牛の種類で決まる

ビデオに出てくる農家の牛はノルマンディー品種の牛(ノルマンド)ですね。

情報を見ていたら、AOCカマンベールとなるミルクを提供する農場では、飼育する牛のうち半分は純粋なノルマンド種の牛にしなければならない、という規定が2020年から実施されるのだそうです。ということは、現在はおろか、それ以降になっても、ホルシュタインなどの牛のミルクでもカマンベールを作られるということでしょう?

★ 過去の日記: ノルマンディーの牛が見たい

この日記の始めに写真を入れた私のカマンベールは、何の牛のミルクで作っているのかは書いてなかったので分かりません。味に満足できなかったのは、もしかするとノルマンド牛ではなかったからかも知れません。

チーズの味は牛の品種によって大きくかわります。無殺菌の生乳を使っているかどうかよりも、搾乳量が少ないというノルマンド種の牛のミルクかどうかでカマンベールの味は大きく変わると思います。

例えば、私がいつも必ず冷蔵庫に入れているコンテというチーズは、モンベリアルド種の牛のミルクを使用しなければ、AOCコンテにはなりません。


サレルスというチーズ

牛の品種を特定しているAOCチーズの代表ではないかと思った「サレルス」を調べてみました。サレルスという品種の乳牛は、搾乳するときに牝牛の赤ちゃんをそばに置いておかないと乳を出してくれない、という手がかかる乳牛だと聞いたことがあります。

☆ サレルスAOCサイト: Vache Le fromage AOP Salers
このページの、下にある茶色の牛の方がサレルス牛のはずです。

サレルスチーズはサレルス牛から作るのだと思っていたのですが、どんな品種の牛でも良い、と書いてあります。ただし、10軒くらいがサレルス牛のミルクでチーズを作っているとのこと。ふ~ん、そんなものなのですか。

そういえば、オーベルニュ地方に住む人からお土産にもらったサレルスが、今まで食べたことがないほど美味しいサレルスだったので聞いたら、「選び方があるのだ」と言っていました。

上にリンクしたAOCサレルスのサイトに写真が出ていて、チーズに「Tradition Salers」と書いてあるものが、サレルス牛のミルクだけから作ったものなのだそうです。

そういう風に、ひと目で見分けられるようにしておいて欲しいですね。カマンベールの場合も、ノルマンド牛のミルクだとか、そういう表示が欲しい。そう思ったら、ちゃんと明記しているメーカーがありました。


次回は、評判の良いカマンベールを作っているグランドルジュ社について。
このAOCチーズを作っているこの農場では、ノルマンド牛のミルクだけでチーズを作っているのでした。

続く


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ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム)に関して書いた日記


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