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2010/09/25

文化遺産公開日に行ったオーセールの町 その3


この前にオーセールの町に行ったときには、橋の上にあった銅像を見て、Paul Bertとはどなたなのかと思いました。

地方だとよけいに地元出身の有名人を称えるのでしょうね。オーセールの町にも、歴史に名を残した人たちがいます。レチフ・ド・ラ・ブルトンヌは知っていますが、それ以外は知らなかった人ばかり...。

今度はまた別の人が気になりました。


町のあちこちにいたお婆さん

前回の日記で書いたクリプトを見学した修道院の教会部分に、こんなお婆さんが立っていました。


Abbaye de Saint-Germain

「こんなお婆さん」と言っても、よく見えない?
観光スポットにもなっている時計台がある通りにも、同じ人が立っていました。



あれ、あれ、あちこちにいらっしゃるの?!
と思ったら、お土産屋さんでもミニチュア版を売っていました!


20世紀の女流詩人 マリー・ノエル

なんだかホノボノするお婆さん像。オーセールの町で生まれたマリー・ノエル(Marie Noël、1883~1967年)という女性なのでした。皆から愛された20世紀の女流詩人だそうです。

本名はMarie Rouget(マリー・ルージェ)。20歳のクリスマスのとき、恋人に去られ、さらにクリスマスの夜には3人の弟の中で一番年下の弟が亡くなるという苦痛を味わったそうです。それにちなんで「ノエル(フランス語でクリスマスの意味)」という名前をペンネームにしたとのこと。彼女は生涯を独身で通しました。

マリーとノエル(クリスマス)を並べた名前は、一度聞いたら覚えてしまいます。余りにも良い名前ではありませんか? マリーとはマリア様のことなのです。

*彼女が苗字にしたノエルは、苗字にもファーストネームにもある名前です。ファーストネームでは二つ並べる名前になっている場合も多いので、マリー・ノエルと聞いたら、それだけでファーストネームなのかとも思ってしまう。フランス人の苗字のランキングでは、ノエルは現在64位に位置していました。そんなことは、どうでも良いのですが!

彼女は敬虔なクリスチャンで、詩には心温まるものがあり、フランス人なら子どものときに覚える歌にもなっているそうです。

日本では無名の詩人かなと思ったのですが(単に、私が知らないからという偏見からですが!)、ちゃんと翻訳がでていました。
マリー・ノエル詩集 (双書・20世紀の詩人 20)


生前のマリー・ノエル

下のサイトにマリー・ノエルが76歳のときのインタビュー(1959年)が入っています。公の場に身を出すのを嫌った彼女の貴重な映像だそうです。
☆ ビデオ: Marie Noël

銅像に似ている♪ なんて思ってしまったのは不謹慎ですね! でも私には、少女がそのままお婆さんになったような純粋な人には見えました。

オーセール大聖堂のミサに毎日通っていたという場面から始まります。今の時代では、毎日ミサがあるということはないのでしょうか?...

その後、彼女の家での伝記作家のインタビューが始まります。そこは「Maison du diable(悪魔の家)」と呼ばれていたそうです。文化遺産公開日にはこの家も見学できることになっていたようですが、行けなくて残念でありました…。

彼女は名声を嫌って公の場出ることを拒んだので、もう亡くなった詩人ということにもされてしまったようです。ビデオでは、彼女と深い関係にある女の子が、彼女の詩を扱った学校の先生に「まだ死んでいません!」と泣きながら訴えたけれど、叱られたというエピソードが語られています。

ビデオの最後では、女優さんがマリー・ノエルの詩を朗読しています。

こんなに美しいフランス語の響きは、フランスにいても、めったに耳にすることはありません。しいて言うと、お葬式のミサで、残された家族がするスピーチのトーンに似ていると思いました。言葉を荒げて話すのばかり聞こえてくるなか、このスピーチを聞くとフランス語って美しいな... と思うのです。

葬式のミサを思い出したのも当然。この彼女の詩はクリスマスのときに弟を失った悲しみを語っているのです。

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情報リンク:

☆ マリー・ノエルの詩の日本語訳を紹介しているブログ:

「マリー・ノエルの祈り 」/ アドヴェントのともしび

Je vous salue Marie Noël

La page des écoliers
学校教育の資料のようですが、簡潔にマリー・クレールという人を紹介しています。

☆ マリー・ノエルの葬儀ミサでの司教の祈祷: Oraison funèbre de MARIE NOËL
マリー・ノエルの葬儀は、1967年12月27日にサンピエール教会(Saint-Pierre d'Auxerre)でなされたようです。実は、この文化遺産公開日に訪れたオーセールの町では、最後に、午後8時まで開いているというこのサンピエール教会を見学しに行きました。門と入口の外壁(たぶんルネサンス様式)が珍しくて感激したのですが、工事の足場が出来ていて、6時頃だったのに入口は閉まっていました。なぜか無情に入りたくなってウロウロと入口を探した教会が、マリー・ノエルの葬儀ミサが行われた場所だったとは!... 彼女の銅像を見た後で、偶然にも行った場所だったのです。

☆ Wikipédia: Marie Noël

☆ ツーリストオフィスのオーセールにまつわる人々の一覧ページ:
 Les personnages qui ont marqué la vie d'Auxerre

この詩の原題は「Noël de l'Avent (1928年)」だと思います。ビデオの始めには、マリー・ノエルのもとには世界中からファンレターが毎日たくさん届き、人生のアドバイスを求める人も多いというナレーションがありました。インタビューの最後では「お手紙をもらっても返事ができない人たち、特に人生の悲しみを語ってくる人たちに、この場をかりて私の友情を送ります」とマリー・ノエルが言っているのですが、この翻訳した詩とブログの記事を読んで、彼女に手紙を送る人たちの気持ちが分かる思いがしました。
カテゴリー: 文学、映画 | Comment (4) | Top
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コメント
この記事へのコメント
Otiumさま

このたびは、拙ブログに嬉しいコメントをありがとうございました。あのマリー・ノエルの詩についてのブログはずいぶん前にアップしたものでしたので思いがけない喜びでした。
早速ご紹介のビデオを拝見いたしましたが、フランス語を解せぬ哀しさ、貴重なインタビューの内容を知ることができず、残念なことこの上ない思いです。
それでも、彼女の晩年の映像からまた、声からいろいろな思いを紡ぐことができました事、感謝です。
意味こそ判りませんでしたが、最後の朗読には沈潜する哀しみ、癒えることのない痛みのようなものを感じました。
拙ブログでのお返事にも書きましたが、こちらの記事をTBしていただけないでしょうか。
マリー・ノエルに関してより良く知るためにも、大きな手掛かりになると思います。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
2010/09/26 | URL | aosta  [ 編集 ]
v-22aostaさんへ

マリー・ノエルについて日本語で紹介してあるものをリンクしてしまいたいという横着な気をおこしたのですが、日本では翻訳はでているものの、インターネットでは情報が出ていませんでした。そんな中でaostaのブログを読み、彼女の雰囲気を知ることができました。20世紀の詩人なので著作権問題があるせいか、彼女の詩はフランス情報では余り検索できなかったので。

TBについては、aostaさんのブログにコメントで書いたように、うまくできなくて申し訳ありませんでした。

リンクをお願いしたご縁でaostaさんの新ブログを知ることができたので嬉しいです。こういう読みごたえがあるブログは大好きです♪ どなたかがコメントで「ブログの記事を出版したら」と書いていらしたのですが、私のFC2ブログにはブログを本に仕上げるサービスができているようです。
2010/09/27 | URL | Otium  [ 編集 ]
おはようございます。
(って、全く時差を考えてない・笑)

TB、再送してくださったのでしょうか?
今回は無事、受理いたしました。
ありがとうございます。

FC2ブログは最近人気ですね。
内容的にも濃いブログが多いように感じています。
テンプレートもシンプルで好みです。
さらにはブログを本にするサービスまであるんですね~!
ディスプレイ画面ではなく、印刷された文字を読んでみたい、と思わなくもないのですが(笑)
2010/09/30 | URL | aosta  [ 編集 ]
v-22aostaさんへ

TBの送り方が分かったので入れさせていただきました。

FC2ブログは書いた記事を送信する速度も早いので、とても使いやすいです。

>さらにはブログを本にするサービスまであるんですね~! ディスプレイ画面ではなく、印刷された文字を読んでみたい、と思わなくもないのですが(笑)
⇒ 私も日常生活のささいな出来事を書いたブログを本にする必要はないと思っていたのですが、aostaのブログを拝見して、その中から心にズシンとくるお話しだけをピックアップしてご本になさったらステキだなと思ったのでした。文学作品や絵画の奥に描かれたものを考えさせる日記は圧巻ですもの!
2010/10/01 | URL | Otium  [ 編集 ]
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