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2010/10/16
ヴェルサイユ宮殿では、日本人ポップアーティストの村上隆氏の作品が展示されているそうです。

絢爛豪華な宮殿とは異質のアニメ調の芸術作品。展示されているのは特別室ではなくて、あの鏡の間など、宮殿の中では最も観光スポットになっている場所です。

このニュースを聞いたのはだいぶ前。また宮殿に現代芸術の作品を展示する企画をやっているんだな、と思って、気にもしませんでした。

最近のフランスでは、城や宗教などの歴史的建造物の中に突拍子もない現代芸術の作品を置くのが非常に流行っているのですから。

それでも、今回のは日本人が作品を陳列したという点で、少しは興味をひかれていました。


斬新な企画には賛否両論が飛び交う

ヴェルサイユ宮殿はめったに行くところではないのですが、たまたま行ったら現代芸術作品が鎮座していたので度肝を抜かれたことが2度ありました。

そのときの日記:
パリ近郊旅行 <3>: ヴェルサイユ宮殿の庭で仰天! 2007/10/26
ヴェルサイユ宮殿を占領していた特別展 2008/09/26

1回目のびっくりは庭園に置かれた作品だったので、後で思えば可愛いものでした。

2回目のびっくりでジェフ・クーンスの展示を見せられたときは、損害賠償のために入場料を半額にでもしてくれないと合わないと思いました。だって、ヴェルサイユ宮殿の入場料はやたらに高いのです!

私は昔の芸術が好きで、現代芸術は好きではありません。控え目にいえば、現代芸術は全く理解できないという無知な私であります。今回の村上氏の作品は、ジェフ・クーンスの作品とほとんど同じに見えてしまいます。

ヴェルサイユ宮殿という博物館で特別展をするのは構わないのですが、どうして普通の博物館のように特別展のための部屋にしないのでしょう? ヴェルサイユ宮殿には、あり余るほどの部屋があるのに...。

写真を撮るにも邪魔。地球の裏側から宮殿を見るためにやって来て、もう二度と来れない人だって多いはず。可愛そうじゃないの?!…

そう思ったのですが、インターネットに出る日本の報道に、ほ~? と思うものがありました。日本人の芸術家がヴェルサイユ宮殿に作品を展示しているということで、日本人観光客たちが喜んでいる、というのです。

確かに、喜ぶ人たちもいるかもしれないですね。「ベルサイユのばら」を読んだことがある人だったら、その舞台になったヴェルサイユ宮殿に日本人アーティストの作品が展示されるなんて名誉なことではないですか?!

この報道ソースはとんでもなくフランスの一般情報を曲げたことを書いているとマークしているので、この博物館が出した情報を伝えているだけなのかな?… 喜んだ人はどのくらいいるのだろうか? とは思ったのですが...。

でも、考えてみれば、ヴェルサイユ宮殿は「有名だから行っておこう」というだけで来る人たちも多く訪れるはず。特に子どもたちは、嫌々ながらも連れて来られてしまうケースも多々あるはず。

そういう人たちには、大好きな日本のアニメを思わせる作品が置いてあったら大喜びしてしまう、ということにもなるでしょうね。ヴェルサイユ宮殿なんて歴史の埃をかぶっているだけかと思って行ったけど、楽しかった♪ という驚きにもなる。

現代美術が美しくないと思うのは、私の偏見にすぎません。

今では高い評価を得ている絵画や音楽が、当時は誰も価値を認めなかったという例は数えきれないほどあります。パリの観光名所となっているエッフェル塔だって、そんなものを立てるなんて! と反対運動がすごかったのだそう。

いいの、悪いの、という評価はしないことにしています。

もちろん、ヴェルサイユ宮殿と現代芸術をドッキングされることに猛烈に反対する人がいるのも当然。

この手の企画で1回目の展示(ジェフ・クーンス)の方が、今回の村上隆氏の作品展より批判が多かったのではないかと感じるのですが、それは私がぶつかってしまったからニュースに気をつけていただけかも知れません。でも、村上氏の作品はテレビのニュースでは見たことがないような気がします。

ジェフ・クーンスのときは、ブルボン家の子孫が「祖先を侮辱した」として裁判に訴えたのですが、あっさりと負けたようでした。宮殿の敷地内にはブルボン家のお墓がないのが理由。


今は宣伝の時代

芸術作品は、良くも悪くも話題になれば知名度が高まります。

コマーシャルだって、スキャンダルだと批判されると(宗教を侮辱したなどの理由で)、会社にとってはマイナスどころか成功なのだろうな、と思います。

映画だって、観客数は封切り前の宣伝に大きく左右される。

今のヴェルサイユ宮殿博物館の館長は、話題になるような展示会をするのが好きな人なのだろうと思います。入場者数を少しでも増して収益をあげようと努力する私営博物館とは違うわけですから、好きなことをするには問題がないはず。

あるいは逆かも知れない。作品の価格が世界で一番高いというジェフ・クーンスの展示会のときには、芸術家が膨大な場所代を支払うので、博物館にとっては大きな収入になるからなのではないかと疑いました。でも、真相は掴めませんでした。


「フランスに申し訳ない」と思う日本人がいるの?!

日本人の芸術家がヴェルサイユ宮殿には溶け込まない作品を展示したとフランスでは批判されていると知った日本人たちの中には、申し訳ないと思ってしまう方々があるらしい、と知って、こちらの方に驚きました。

在日フランス大使館には謝罪のコメントが寄せられているのだそう。
こちらの記事の4ページ目にあります↓
☆ JBpress: パリで大激論、村上隆・ベルサイユ展覧会

「コメント」という言葉を使っているということは、サイトからメッセージを送っているのでしょうか? 冷たく応対されそうなお役所に電話して、「日本人としてお詫びしたいのですが…」などと言うのなんかは勇気がいりますよね?…

でも、湾岸戦争のときだったか、フランス大使館には日本の男の子たちが「外人部隊に入りたい」という電話が毎日何通もかかってきたと聞いたことがあるので、思い立ったことは気軽に電話する人たちもいるのかも知れない…。

ともかく、フランスに申し訳ないことをしたとお詫びしてしまう日本人たちがいると聞いて思ったこと:
 ・自国を代表して何か言えるのは、すごい!
 ・日本人には、謝ると許されるという感覚がある。
 ・日本人は自己批判が好きなんだな~。

なぜそう感じたかを書くと長くなるのでストップしておきます。

なお、村上隆氏の特別展は2010年9月14日から12月12日まで。
☆ ヴェルサイユ宮殿のオフィシャルサイト: Murakami Versailles

この期間にはヴェルサイユ宮殿に行かないようにしようとメモしたのですが、現代芸術がお好きな方は逆のマークを付けてください!

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コメント
この記事へのコメント
ふむふむ
村上隆氏の作品がベルサイユ宮殿で展示されているニュースを見たときはすごくショックでした。
というのも、実は今月中旬から1ヶ月間、フランスに行く予定にしていて、その間、初めてフランスを観光したい!という友達も何人かいたのです。
憧れのベルサイユ宮殿にようやく来たのに~。とがっかりする友達の姿はすぐに想像できました。
でも、ラッキーなのか?私のフランス行きが無くなったことからこういう心配から解放されましたけどね。

日本人って不思議だな~?って思うことがよくあります。
同じアジアでも中国や韓国とはまた違うものを感じますし。。。
「和」を大事にするのは感じますね。
2010/10/17 | URL | pepe犬  [ 編集 ]
Re: ふむふむ
v-22pepe犬さんへ

pepe犬さんはこういう芸術も理解できてしまう方ではないかと思っていたのですが、ショックでしたか。

昔々初めてパリに行ったときには、みんなラクダ色のコートを着て歩いているので、フランス人の好みって渋いのだな... と思ったのですが、最近はずい分変ってきました。これもグローバリゼーションなのかな?...

日本は中国や韓国から文化を受けているのですが、島国なので独特の形に育ったみたいですね。最近は、良き日本人の気質も欧米文化と混ざって変化してきているので、変に曲がってしまうのではないかと心配したりすることもあります。

でも「フランスに申し訳ない」なんてコメントする人があるというのは、昔ながらの日本人気質を保っている人たちがいるんだな... と思うきっかけになりました。ただ、思ってしまったのは、謝っちゃうことを、日本人が受け取るように好意的にフランス人から受け取られるのかどうか?... という点でした。
2010/10/17 | URL | Otium  [ 編集 ]
うーん、私もあまりああいう現代アートは好みでないので、ヴェルサイユ宮殿のようにそれだけですでに完成されているところに余計なものを…と思ってしまいます。わざわざ日本から行ったときにだったら余計に損した気分になりそうです。

でもたまたま日本人アーチストの作品が展示されたからと言ってあやまる必要はあるかはちょっと疑問です。逆に姫路城にフランス人の現代アートが飾られているからといってフランス人に謝られたところで「?」と思うでしょうし。もっともそのためにお城の一部を壊したり犠牲にしたというなら話は別ですが…
2010/10/17 | URL | ぶるとんぬ  [ 編集 ]
v-22ぶるとんぬさんへ

ぶるとんぬさんがフランスにいらした時期とは重ならないのではないかと思うのですが、フランスでしでかしたことで非難囂々だった日本人がいました。

歴史的に大変な価値のあるお城を買った日本人女性。買ったときの条件にも「城の修復維持をする」とあったにも関わらず、城の内装などをバラバラにして売りさばいてしまって、哀れな城が残ったという事件です。暖炉や壁を覆う木の彫刻などを売れば、城を買ったときに出した値段をはるかに上回る収益が生まれますので、日本人だったら抵抗なしにやるかな?... と思ったり...。

バブルの時期だったと思います。彼女はフランスの城を数軒、ドイツでも城を買っていて(ヨーロッパ中に20軒くらいだったかな?)、それでお金儲けを図ったようなのですが、特に話題になったのは超歴史的価値のある城でした。

このときは連日ニュースで報道されるし、友人たちも話題にするので、本当に居心地が悪かったです! 日本人はエコノミックアニマルで、フランス人にとって大切な文化遺産を破壊して金儲けする国民だとみられるのですから、たまりません。「日本人としてお詫びしたい」という気持ちにはなりませんでしたが、「日本人として恥ずかしい!」と思って、縮こまっておりました。

こういう事件だったら、日本から「申し訳ない」という声があがってくる価値があると思うのですが、こんな派手さのないニュースは日本ではほとんど報道されなかったはず。誰も誤ったりはしなかっただろうと思いますね。

まだこの事件を忘れない人たちがいて、話題に出てきたりするので参ります! 刑務所に入れられたという話でストップしていたので、その後どうなったのかと調べてみたら、さすが大金持ちなので逆に裁判で訴えて、勝訴したらしい記事がでてきました。したたかな日本人もおりますね...。
2010/10/17 | URL | Otium  [ 編集 ]
バブル時代にヨーロッパのお城を買ったものの維持できない日本人がひんしゅくをかっているという話を聞いたことはありますが、内装などをバラバラにして売りさばいて捕まった人がいたとは!これは話題に出されるといたたまれなくなってしまいますね…もうひたすら縮こまってやり過ごすしかないというか。
しかし、ずいぶん図々しくしたたかな日本人がいたもんですね。まぁ1億2000万人もいればそういう人もいるということでしょうか。
2010/10/18 | URL | ぶるとんぬ  [ 編集 ]
v-22ぶるとんぬさんへ

>まぁ1億2000万人もいればそういう人もいるということでしょうか。

外国にいると変に愛国心ができてしまうので、この事件のときも、この日本女性の行動を正当化する言い訳を考えたりしていました。日本の家屋は50年で立てかえるのだから、古い建物を残そうとする意志が弱いのだ、とか何とか...。でも、この女性は、昭和の歴史に名を残すようなスキャンダルをおこした社長のご令嬢だと分かったら(苗字が違うので分かりにくかった)、この人は日本人と言っても例外なんだ、とほっとしたように思います。

本当にバブルのときだったかなと調べてみたら、彼女の父上が火災現場に集まった報道陣に「本日は早朝よりお集まりいただきありがとうございます」などとご挨拶なさったときから、2年もたたないうちに問題の城が購入されていたのだと知りました。

そういえば、このお城、放置状態のときに火災がおきて大きな損傷もあったのでした。何だか薄気味悪いお話し...。
2010/10/18 | URL | Otium  [ 編集 ]
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