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2010/10/18
友人の家に遊びに行ったときのこと。お昼をしっかりご馳走になったのでお腹は全くすいていなかったのですが、夕飯も用意してあるから食べるのだと言われました。

午後6時近くになってはいたのですが、昼食が終わってから1時間くらいしかたっていない!

ブルゴーニュは食い倒れの国なのです。昼食のあとに食後酒を飲み終わった席に座っていたとき、夕食に招待されていた人たちが到着したからと食前酒が始まる、などということもあります。つまり、12時間以上、テーブルについたまま!

この日は、お腹がいっぱいなのは私だけではなかったので、みんなで散歩して腹ごなしすることにしました。

通りを挟んだところにある家には中世の城の廃墟があるので、それを見に行こうという提案です。お城の持ち主はパリに住んでいるらしいので、敷地に入っても大丈夫なのだとのこと。


広いお庭!

友人の家を出てから、お隣さんの家の塀にそって歩くこと、しばし。森の入り口のようなところに出ました。

そこからが私有地らしいのですが、門もないし、「私有地につき立ち入り禁止」の標識もありません。ただし、お城の見取り図の絵があって、見学は一人2ユーロと書いてある。

友人夫妻は時々散歩に来ているのでしょうか。分かれ道では、こちらを進むなどと、ちゃんと知っていました。

森の中を少し歩くと、昔のモットと呼ばれる城跡に出ました。石づくりの堅固な要塞ができる前の時代、盛り土をした上に木で櫓を組むという城がモットです。

専門家の案内でモットを見学したときの日記:
モットと呼ばれる城 2007/12/17

お堀も残っていて、かなり立派なモットのようでした。もちろん、建物なんかは何もないのですが。

でも、みんなは城の廃墟の方に行きたがるので、モット探索は断念しました。一人で歩いていたら迷子になりそうでしたから。

みんなの後を早足で追ってから、しばし歩くと、お城の廃墟が見えてきました。

家屋の部分に余り近づいては悪いので、私たちは立ち止まって城を眺めました。私は写真をとる。

すると、向こうの方から芝刈り機のエンジンの音が聞こえてきました。庭師の人がいるとしたら、無断で立ち入りしたのはちょっと問題ですよ~!

ミニチュアカーのような芝刈り機が近付いてきました。右に入れた写真のようなタイプ。フランスでは広い庭を持つ人には必需品になっています。こういうタイプは「乗用芝刈り機」と呼ぶのですね。


私を突いて「カメラを隠せ」と言う人がいたので、慌ててポケットに入れました。

芝刈り機はこちらに向かってやってきます。

まずいな~。
そこで退散すると泥棒風になってしまうので、避けるべきだし…。

芝刈り機に乗っていたのは高齢の女性でした。庭師の人ではなくて、お城の持ち主のマダム?

だとしたら、不法侵入はよけいに悪いですよ~!
こんな黄昏時には、お城の見学に来るのは不自然だし...。

「どうぞ、どうぞ」と言われてしまって見学

お互いの姿が確認できるくらいの距離になったら、芝刈りのマダムは手を挙げて、「お城にもっと近づいてご覧なさい」というような身振りをしてきました。

それでも遠慮していると、もう一回手を振る。
それじゃあ、廃墟の近くまで行ってしまおうではないですか?

再びカメラを取り出して撮影。



マダムはさらに近付いてきて、城を見学したいかと聞いてきました。でも、もう夕方の6時を回っているので悪いではないですか?... でも、マダムはいっこうに構わないという顔をなさっている。

ご近所に住む友人は「僕たちは前に見学したことがあるから…」と答えました。つまり、城の見学料を払いたくないみたい! 友人仲間では、この夫婦はシマリヤだと言われているのです。

でも、私を含めて他の人たちは、喜んで見学したいと返事しました。
マダムは車を降りて、私たちを城の敷地の中に案内します。この廃墟の先が居住空間でした。


廃墟の見学

いつもガイド役を務めているらしいご主人がでてきました。

背広にネクタイ姿。ちょっとよれよれの普段着用スーツのようでしたが、家にいるときもそういう格好をしていないと落ち着かないのでしょうね。フランスでは職場でもネクタイをしている人は珍しいのに!

お城の模型があって、それを見せながら説明が始まりました。



中世には立派な城だったのですが、フランス革命のときに没収されて、建物を壊して石材として運び去られてしまったのだそうです。フランスの歴史的建造物では、よくあるお話し。

壁面が1枚残っている状態になってしまっています。こんな状態でも、普通は暖炉などが残っているのですが、それもない。

珍しいのはラトリンヌと呼ばれる中世のトイレ跡でした。普通は外壁に汚物を落とすのですが、ここのは壁の中に作った空洞に落す仕組みになっているのが分かります。かなり貴重な例ではないでしょうか?

昔のトイレについて書いた日記の一覧:
★ 目次: サニタリーに関して (トイレ、浴室、洗濯、衛生)

こんな姿を修復するには膨大な費用がかかりますから、せいぜい崩れ落ちないようにしているらしい。それにしても、いつ崩れて落ちてもおかしくないような危険な状態でした。

こんなところを一般の人に見学させてしまうというのは無防備だとも思いますよ。だって、誰かが怪我をしたら、建物の持ち主の責任になるのですから。

でも、ご主人はこの歴史的建造物にいたくご執心のようで、見てもらうのが嬉しくてやっているようでした。

とは言っても、建物に近づいたときには「落石があるから長く立ち止まってはいけない」などと私たちに注意していました。

残っている塔は、城の天守閣のようなドンジョン。その地下室には入れてもらいました。


お家はミニ博物館!

説明はなかなかおもしろくて、新しく学んだこともありました。私たちの中に1名、歴史に詳しい人がいたので、その人とご主人は会話がはずみ、ご主人はとても嬉しそうでした。

たぶん、それでだと思うのですが、城主夫妻が住んでいる建物の中にも入れてもらえました。ドンジョンの向かい側にあった建物が19世紀に修復されていて、そこがご夫妻の居住スペースになっていました。

そこの見学が一番面白かったです。まるで博物館のよう! ガリア時代のものから、18世紀ころまでの色々なものが所狭しと置いてありました。何か話しがでると、ものすごく価値がありそうな本を出してきて説明してくれます。

こんな森の中にポツンとあるお家で、よくぞ泥棒に狙われずに残っていたな、と感心してしまいます。無造作に壁にかけてある大きなタペストリーだけだって、ものすごい価値があるはずです。

おしゃべりしているうちに、外は暗くなっていました。ようやく芝刈りを終えたらしいマダムも戻ってきました。そろそろおいとましなければなりません。

「また、いつでもいらしてください」と言われて、見学料を払うのも拒否されました。

初対面なのに、すっかり打ち解けてしまいました。こういう夫妻が近所に住んでいたら、色々なものを見せてもらって、色々な話しを聞かせてもらって、どんなに楽しいでしょう?

家の外にでると、もう日はすっかり落ちていました。車で送ってくださるという申し出てくださったのですが、ご辞退しました。森の中を歩いて道路に出るのですから、「門までお送りします」というのも車が必要になってしまうのですね!



左手に明かりが見えるところが見学させていただいたお部屋です。

廃墟の地下で私が撮影したコウモリの写真が欲しいと言われたので、メールで送りました。孫に見せられると感謝の返事がきて、食事に招待したいので友人たちと一緒に遊びに来てくださいとも言っていただいてしまいました!

撮影したコウモリの写真を入れておきます。どっちが頭なのか尻尾なのか分かりませんが、人間向けにも作ったらヒットしそうなデザインのマントではありませんか?





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カテゴリー: 建築物 | Comment (6) | Top
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コメント
この記事へのコメント
うわぁ~
ん~、やっぱりお城は憧れです~。
今も暮していらっしゃるのがいいですね。
博物館のようなお家をきっとキョロキョロしてしまいそうです。
ろうそくの火がとても似合いますね。いいなぁ~。
2010/10/19 | URL | pepe犬  [ 編集 ]
Re: うわぁ~
v-22pepe犬さんへ

お城というと絵に描いたような立派なのでないとつまらないと思われる方もいるでしょうが、いいなぁと思ってくださいました?

フランスでお城に住んでいる人はたくさんいますが、ここは千年以上の歴史を持つ城跡の中に少し住めるスペースがあるというだけなので、それが何だかロマンチックで感動的でした。
2010/10/20 | URL | Otium  [ 編集 ]
残っている部分が少ないだけに想像をかきたてられますね。(頭上注意は怖いですが…^^;)
現在住んでいる方に説明してもらえるのはいいですね。やはり自分のご家族の歴史ということで説明に熱がこもっていそう。
お城の復元模型の写真で思い出したのですが、フランスの歴史的建造物を見学するとよく精巧な模型が置いてあるような気がするのですが、フランス人ってああいう細かいものが好きなんでしょうか?ジオラマになっていてミリ単位の羊や鶏なんかが横にいたりしてすごくかわいいのでつい見入ってしまいます。
2010/10/20 | URL | ぶるとんぬ  [ 編集 ]
v-22ぶるとんぬさんへ

>現在住んでいる方に説明してもらえるのはいいですね。やはり自分のご家族の歴史ということで説明に熱がこもっていそう。
⇒ 有名な城では専門のガイドさんが説明するのは仕方ないですが、個人が住んでいる城を見学するときに学生アルバイトだったり庭番の人がガイドになっていると、ちょっとがっかりします。「子どものときには、食事の前に手を洗って、服装を整えてこの部屋に集まってからダインングルームに行くことになっていました」とか、「私が嫁いできたときには、あそこの井戸から水をくみ上げるので大変でした」とか、何でもない話でも昔を彷彿とさせられるので好きです。

>フランスの歴史的建造物を見学するとよく精巧な模型が置いてあるような気がするのですが、フランス人ってああいう細かいものが好きなんでしょうか?
⇒ そういえば、日本では余りなかったでしたっけ? 私もフランスではよく見かけますね。精巧な模型を作らせるのはものすごく高いのだと聞いたことがあります。予算がないところでは、素人が作って寄付した模型が置いてあって、それがかなり良くできていたりもしますね。

中世のロの字型のお城が、戦争の危険がなくなった時期に1面を取り払ってコの字型にされたなどというのは模型で見せてくれなくても良いですが、完全に姿を失ったのは模型で見せてくれるとありがたいです。

でもテクノロジーが発達した現代、予算がある歴史的建造物では模型を作らせるのは減ってくるのではないか、という気もしています。コンピュータグラフィックスの3D画面で復元したビデオなんかは、模型よりも実在感がありますから。それから、取り壊されてなくなった建物の前にパソコンの画面のようなものを設置して、それを動かすと、それにつれて画面には昔あった建物が見える、などというのも登場しています。
2010/10/20 | URL | Otium  [ 編集 ]
ホントに、森の中の一軒家などだと泥棒(コソ泥)も怖いけど、強盗(人が居ても入ってくるタイプ)なんかだともっと怖いよなあ~と、最近想像します。
物騒な事件も多い昨今、人里離れたところに好んで住む人たちは、よほど“人は善いものだ”と信じているのかなあと…。
でも、善良な人たちが出入りしてくれることは、防犯上いいことですよね。
一人暮らしのお年よりなんかだと、まわりの人の出入りで賑やかしてあげることは大切だろうな~と感じます。
2010/10/20 | URL | すぎちゃん  [ 編集 ]
v-22すぎちゃんへ

> 物騒な事件も多い昨今、人里離れたところに好んで住む人たちは、よほど“人は善いものだ”と信じているのかなあと…。
⇒ 心配なんかしないに限るのではないかな?… フランスは盗難が多いので、やたらに泥棒を心配している友人がたまにいます。泥棒に入られるのは1年に1日だとして、残りの364日を心配して暮らすというのはバカらしいと思ってしまう私です。

もともとモノには執着しない私なので、盗られて惜しがるようなものは持っていない財産ゼロの人生は気楽で良いと思っています。父の仕事の関係で引っ越しばかりしていたのが原因かもしれないし、成人したころに外国で少し暮らすためにスーツケースに本1冊と衣類少しを入れて行ったら、これで足りるのだと知ったのもインパクトだったかもしれません。

泥棒だって人殺しまではしたくないでしょうから、「どうぞ、好きなだけ持っていってください」と言ったら、それで済むのではないかと楽観しています。

怖いな~と思ったのは、日本で見たニュース。帰宅して台所に入ったら、熊が仁王立ちで迎えてくれた! こういう場合、「どうぞ、お好きなだけ食べてください」と言って逃げられるものなのだろうか?!…

> 一人暮らしのお年よりなんかだと、まわりの人の出入りで賑やかしてあげることは大切だろうな~と感じます。
⇒ フランスの僻地では特に、郵便配達の人が一人暮らしの人を助けるのに大きな役割を果たしているのは良いシステムだと思っていました。私が住んでいる村の郵便配達をしていた人も、一人暮らしのお婆さんが何か頼みたい用事があるときは郵便受けに白いハンカチを挟さむのをサインにしているという例を挙げていました(天井の電球を取り換えて欲しいなど)。でも、郵便が民営化されてから、そういう昔ながらの風習は消えてたと聞いて、とても残念に思いました。

ついでに…

フランスには一人暮らしの高齢者が多いのですが、それが耐えられるのは、日本と違ってスキンシップが多いからではないかという気がしています。ヘルパーさん、誰か立ち寄った人など、抱き合っての挨拶をしますよね。

田舎ではふらりと立ち寄る人が多いですが、都会だと人間関係は少ない。パリの公園にボ~っと座っている高齢者を見ると胸が痛みます。日本も同じで、高齢者が都会に住むか、田舎に住むかでは大きな差があると思います。

フランスでは若いうちに農村に別荘をもって、退職したらそこに住むという人がたくさんいます。日本では農村に高齢者ばかりが住むと困る仕組みになていますが、フランスでは可能なのですよね…。
2010/10/20 | URL | Otium  [ 編集 ]
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