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2011/02/24

シャブリのサンヴァンサン 2011年】その11
クイズの答え (6)


クイズの答えを検証していたとき、昔のブドウ畑の写真を探してみました。百年ほど前の絵葉書が見つかったのですが、シャブリ(ブルゴーニュの白ワインの産地)のブドウ畑の様子が今とは全く違うので驚きました。

家庭菜園でトマトを栽培しているように、ブドウ畑には支柱がたくさん立っていたのでした。現代のフランスのブドウ畑は畝がきちんとしていて、支柱にはワイヤーがが張られているという整然とした姿なのです。

気になった写真は、こちら ↓
Chablis - Travaux de la vigne - Écoulage
絵葉書を見つけたときの日記(百年前のシャブリのブドウ畑)にリンクした写真です。


19世紀末に出現したブルゴーニュのブドウ畑の変化

先日の日記(ブルゴーニュワインを知ることができる名著)に書いた辞書を手にしたので、「palissage」という単語を検索してみました。

Palissage(パリサージュ)とは、ブドウなど、伸びてくる作物を支柱(鉄線)に固定させる作業のことです。

19世紀後半のフランスのブドウ畑はフィロキセラという害虫によって壊滅的な危機にさらされたのですが、その後に改良されたブドウの栽培法の一つがパリサージュだったのだそうです。ブルゴーニュ地方のブドウ畑でパリサージュの作業をするようになったのは1880~1900年(1860年代の実験が行われていた)。

私が見つけたシャブリのブドウ畑の写真は、20世紀初頭のものだろうと推定されていました。今日のブドウ畑に見られる支柱にワイアーを張ってブドウを支えるという栽培法は、私が見た絵葉書の時代には普及していない方法だったようです。

現在の支柱の立て方は、ブドウの木の選定の仕方などによって違うし、支柱を叩く道具も色々あるようです。 詳細な辞書とはいえ、著者の感情もでていて面白い。ブドウ畑の支柱は木だけれど、「残念ながら、ときには金属製」とあり、プラスチック製のが登場しなければ良いけれど… などと書いてありました。


技術の進歩

私がみている限りでも、ブドウ畑の姿は変わってきています。

長いことイメージに焼きついていたブルゴーニュのブドウ畑は、雑草1本生えていなくて、いかにも手入れが行き届いた姿でした。ところが最近は、雑草は生やした方がブドウの木に良いということになったらしい。

雑草だらけのブドウ畑が登場して、知らなかったら手入れを怠っていると思ってしまう風景が登場しています。でも、わざわざ雑草の種まで撒いていると聞いて驚いたことがあります。

少し前まで、ブルゴーニュではこんな畑 ↓ は存在しなかったと記憶しています。



これは、ブドウ畑が雑草だらけなのに驚いて、ワイン農家の人に聞いてみたときの日記に入れた写真です。
ブルゴーニュのブドウ畑が美しい季節! 2006/08/26


雑草を生やさない方が良いというのも新技術だったはずで、だから農薬で除草したはず。でも、農薬はよくない。だから、雑草は生やす。ということになったのでしょう。

トラクターよりは馬で畑を耕した方が良いと、高級ワインができる畑では実施するようにもなっってきました。なぜ高給ワインができるブドウ畑だけなのかといえば、今ではトラクターより費用がかかるからだと思います。

ブドウ収穫の直前の時期、どうやら葉を落として、ブドウの実が露出するようにしているとしか思えない畑があったのが気になったこともありました。

おいしいワインを作っている農家に行ったとき、年配のご主人にブドウ畑を見ていて不思議に思ったことを聞いたら、新技術なのだと言われたことがありました。

ご主人がおっしゃるには、頻繁に、これをやれば美味しいワインができるという技術が発表されるそうで、そのテクニックの1つだと教えていただきました。 でも、そうやればブドウの実が太陽を浴びられるので良いけれど、その後に強すぎる日差しになったら逆効果なので、そんなことはしないとのこと。長いこと働きながら得た経験を一番大切にしているようでした。

時代によって、何が一番良いかは変わるのですね。もしかしたら、ブドウの木をワイヤーで支える方法も「良くない」とされる時代がくるのかもしれない…。


昔に戻る?

昔のブルゴーニュでは、どこにでもブドウ畑があったそうです。ところが、フィロキセラの被害の後には質の悪いワインを作っていたブドウ畑は放棄され、質の良いワインができる畑だけが残りました。

ですので、今のブルゴーニュワインは水代わりに飲む用をたすだけのワインは消滅したのですが、なんだか最近は(20年くらいのことかな?…)、昔より味気ないものが多くなったと感じます。

ボトルを寝かせておくと、ランクの低いワインが素晴らしくなって驚くという楽しみなどは期待できなくなりました。素人でも口にふくんだだけで銘柄を当たられるほど特徴があるワインも少なくなりました。

何がどう変わったのか?…

30年くらいはワインの上層に携わっている農家の人に聞いたら、ワインが昔のように熟成しなくなったのは地球の温暖化の影響だろうと言われたことがあったのですが、それだけなのでしょうか?

昔は不衛生だったかもしれないけれど、自然で、本来のワインの風味を出すことができたのではないか、と私は思ってしまうのですけれど...。

近代的なワイン醸造の装置を見ると、ぞっとしてしまいます…。
例えば、友達が案内してくれたシャブリのワイン農家。
収穫が終わったばかりのシャブリのワイン農家に行きました 2009/10/07

とても感じの良い家族がワインを作っていて、ワインの味も悪くないので、お気に入りワイン農家にしたいと思いながら帰ってきました。でも、あの近代的な工場みたいのを思い出すと、二度と買い付けには行きたくない気持ちになってしまっています…。

幸いにも、フランスの農産物・加工品にはまだ「昔」が残っています。大変でしょうけれど、伝統は守り続けて欲しいです。

続く

- 脱線して、フィロキセラについて書いたのは、こちら



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