| Login |
2008/08/03
フランス人たちから、子どもの成績が良いという自慢話しを聞かせられることがよくあります。

単純に「成績優秀なの」とか、「体育以外はオール5なのよ」とかではないのです。


成績表のご披露

科目ごとに成績を言うのです。「○○は何点だった」、って。

その「何点」が複雑なのであります!

フランスの学校は20点満点の成績。でも、20点満点というのはめったに与えない成績だそうで(満点を取れるのは神様だけだから?)、良くできる子の話しでも「うちの子はオール20なのよ」なんて分かりやすい言い方にはなりません。

17.5のように小数点まで付ける几帳面な先生もいるのだそうです。まあ、日本だってテストでは100点で採点するのですから良いのではあります。

でも、20点満点で言われると、100点満点にしたら幾つになるのか考えてしまうので、私の小さな頭の中は混乱します。

17点と言われると、「むしろ悪い成績ではない?!」と思ってしまう。
それを計算して、85点と知ると、「悪くはないけど、別に自慢するほどでもない・・・」と思う。
でも、20点満点は与えないのだとすると、自慢できる成績なのかな・・・ と思ったり・・・。

そういう話しをする席に先生をしている人などがいると、もう真剣に報告しています。こういうときは長々話しているのですから、平均点も言ってきて比較させる。平均点になると、小数点以下は2桁!

そういう数字が飛び交う会話を聞きながら、早く終わってくれないかと思ってしまいます・・・。

本当に優秀な人が親である場合は、こういう自慢はフランスだってしないのではないかと思うのですけど・・・。


ご自慢の息子さん

夏休み前のことです。ご自慢の秀才息子さんを持っている友達と食事をしたら、その息子さんが大学課程を卒業して就職が決まったという話しになりました。

例のごとく成績表の数値を並べて、いかに優秀かをご披露したあと、就職先は希望していた大企業に決まった、と話しが続きました。

フランスではエリートが行くグランゼコールという大学に代わる学校というのがあるのですが、彼が通っていたのは、それほど指折りの大学でもなかったと思う。

私は上の空で聞いていたのですが、他に相槌を合わせている人たちがいたので、延々と話しは続きました。


初任給が45万円?!

みんなの会話を聞き流していた私の耳に止まったのは、息子さんの初任給の金額でした。

月給2,700ユーロなのですって。

日本円に計算すると、45万円くらい。日本の優秀な子の場合、これだけの初任給をもらうのでしょうか?・・・ そういう自慢をする人に会ったことがないのでわかりません。

フランスには最低賃金(SMIC)というのがあって、それとほとんど変わらない給料で働いている人たちがたくさんいます。それが現在のところ、フルに働いたとして、月額1,321ユーロ。

話題に出ていた息子さんは、その2倍の報酬。確かに高い初任給ですね・・・。

ガールフレンドも固定したそうで、二人で住むお家を買ったとのこと。町中の一軒家だそうです。ぜいたくですね・・・。

フランスのエリートは、大学を卒業して就職したらいきなり管理職扱いになると聞いていたのですが、そうなのだろうなと思いました。


話題を変えてしまった私

友人たちに自慢話しをしているのなら良いのですが、家族が集まったときにも同じ話題を持ち出すのだろうか?・・・ と、ふと思ってしまいました。

この息子さんには、義理の兄弟が2人いるのです(母親の前の結婚でできた子どもたち)。その二人は、両方とも収入は少なくて質素な生活をしているのを知っています。

末っ子がすごいという話しをしたら、他の兄弟たちが可哀そうではないですか?・・・

ちなみに、お姉さんは職場などない寒村に住んでいて、旦那さんの給料は1,400ユーロくらいに過ぎないのだそうです。そんなことまで持ち出さなくても良いのに!・・・

でも、そのお姉さん一家は愛情たっぷりで、とっても良い家族なのです。廃屋だった田舎の家を買って修復しながら、質素だけれど、仲良く暮らしています。

自慢話しの話題を変えたくなりました。

それで、まず方向転換をはかる。

「子どもが優秀になるのは、親が愛情を注いでいる家だと思う」

彼の貧しいお姉さんはとても良い性格をしていて、「私には、幸せを絵に描いたような家族に見える」、と言いました。

末っ子は余りにも可愛がりすぎていて、かなり繊細な性格の男の子になっています。ちょっと躓いたらめげてしまいそうに見えるので、私はかえって彼の将来が不安になってしまうのです・・・。


何が幸せかは分からないと思う・・・

自慢息子のお姉さんのお家を紹介しておきます。

右側がお家

左側の廃屋は買えなかったので、別の人の所有になったそうです。ですから、お家は右側の建物だけ。ブルゴーニュの感覚では、かなり小さな家です。

でも、良いではないですか?
年に8週間の有給休暇があるというご主人は、リフォームに精を出しています。

私が一番気に行ったのは、お庭からの眺め!

お庭からの眺めは素晴らしい♪

子どもたちは素直で可愛いし、ご主人は温和で優しい。温和な性格というのは、フランスでは希少価値があります!

その娘さんが子どもたちに対するときの態度は、本当に辛抱強くて、優しいので印象的でした。保母さんの資格を持っているので、近所の子どもたちのベビーシッターのようなことを仕事にしている、と聞いて納得しました。

家計費は少ないとしても、私には小さな幸せを絵に描いたような家庭に見えます。


子どもも他人、という意識があるから?

それで、ようやく話題が変わってくれて、三人の子どもたちはそれぞれに良さがある、という話しになりました。

それにしても、フランス人たちは、あっけらかんと子どもや配偶者を褒めます。観察して思ったのは、彼らは自分の家族でも、確固とした人間なのだ、という認識があるのではないかと思うのです。

日本だったら、身内は自分の身体の一部になる。それで、子どもや配偶者の自慢をするのは、自分のことを自慢するようなことになってしまうので遠慮する傾向がありますよね?

でも、フランスでは、自分以外の存在は、たとえ家族でも客観的な目で見ているので、一歩下がった目で見ているのではないでしょうか?

フランスの哲学者モーリス・メルロー=ポンティの言葉に、人間は3歳から他者を意識するようになる、とあったのが記憶に残っています。

赤ん坊のときは自分と、自分が触る物との存在の区別がつかないけれど、3歳くらいから自分と他者の区別ができるようになる、という理論。そういう認識の例外として、車を運転していると、車体の幅が自分の身体であるかのように意識して運転できる、というのがありました。

でも、私は怪我をして痛がっている人を見ると、痛みを感じてしまうのです。神経にピリピリと、本当の痛みが走ります! 未だに自己と他者の分離ができていないわけですが、でも、それって、日本人的なのではないでしょうか?

にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: フランス人 | Comment (0) | Top
この記事のURL | Rédiger
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する